いー君といっしょ

2015年11月20日……
最愛の17歳の息子を自死で失いました。
悲しみの記録と、彼の歩んだ道、そしてこれから残された家族三人の日々を記します。

初めての喪主……お通夜が始まった

夕方16時ごろ、少し遅れてセレモニーホールに妻がやってきた。
スタッフの人たちと打ち合わせを行う。


とくに挨拶とかはなく、家族葬なので焼香の順番とかお坊さんが来たら挨拶に行くとか、そんな感じ。


去年の今頃、能登の地元の名士の叔母の葬儀では、大々的に市会議員が葬儀に参列したり、大規模な改装のビデオ上映をしたり……だったが、少し拍子抜けだ。


正直、叔母のようにがんで闘病生活1年間……とかじゃなくて、こっちは突発的にこんな形になったんだから、そもそも心の準備さえできていない。
もう親族を迎えることで精いっぱいだ。
会社や、息子の学校関係者の参列の打診があったが、気持ちだけ頂戴し丁重にお断りした。


告別式30分前ぐらいに、住職さんがお見えになられ、あいさつに行く。
息子の法名を付けていただいた。
息子の俗名から1文字とって『伊空』……空か、いいな……


お金が10万円かかったとか、そういうのはあんまり気にならなかった。
普段お世話になっていないのに、結構な御寺の住職さんに来ていただいたんだ。ありがたいとはこの事だろう。


そして、式は滞りなく進んでいく。


焼香は当然ながら喪主が一番手だ。
恥ずかしながら、参列者へ一礼するのを完全に失念してしまっていた。
妻がしっかり一礼したのを見て、しまったと思ったが後の祭り。やり直すこともできない。


むせび泣く妻の背中をさすってやっているうちに、自分もたまらず号泣。
娘に、二人ともしっかりしろ、と小声で注意された。
強いな……娘は。本当は一番崩れてなきゃダメなのに、気丈に頑張っているんだ。


そして式が終了した。


今晩が最後の夜だ……息子の肉体と過ごす最後の夜……



そして、僕たちは、人生で一番長い夜を迎えることになる。


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僕は敢えて刻み続ける、ささやかな物語を

昨日……ちょっとしたトラブルがあった。


娘が、亡くなった息子のスマホを一日中手放さずにいる。


いまは携帯の契約を解除しても、Wi-fiがあれば、何でもできるらしい。
もちろん彼がやっていたツイッターも見ることができる。
彼は僕のことをフォローしていたらしく、僕のつぶやきも見ることができるらしかった。


その娘が、妻に僕が彼の死に関してのツイッターのつぶやきをご注進。


妻は、頼むから息子のことは言わないで、隠してくれ……とのことだ。
怒っているというより、疲れきっているという感じだった。


僕は彼女を安心させるために、ツイッターの息子に関するつぶやきはすべて消すことにした。


でもね、僕は違うと思うんだ。


息子はコソコソ隠れて死ぬような子だったのか?


違うよ。
彼は一生懸命、恥じることなく白日の下、天下に生きた立派な子だ。
僕は今でも……最後は悲しかったけど、息子の生に誇りを持っている。


だから刻むんだ。息子が生きた時間を、そして証を。


僕たちの幸せだった……そしてこれからも幸せであろう日々を、誰かに伝えたい。


僕たちと同じ、底なしの絶望を味わった人たちと、悲しみを……苦しみを共有したい。


そして、彼の誇り高き人生を、永遠のこの電脳の海に刻んでいきたい。


だから、僕は書き続けるんだ……少しでもたくさんの人たちに見てもらうために。


僕は知ってもらうんだ。


僕と妻が作りだした、息子という唯一無二の最高の芸術品のことを。


いつか、妻も分かってくれる……


でも、いましばらくは……


リアルに息子を知っている人でこのブログの存在を知っている人もいるけど。


どうか、そっと現実の世界では内緒にしておいてほしい。


妹も妻も……まだ、心が立ち直っていないからね。


静かに……


どうか静かに、僕たちの子されれた家族を見守ってください。


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看板と祭壇と……そして特製の棺と

息子の亡骸が家から運び出され、セレモニーホールについていた。
僕が母親を連れて到着すると、豪華な通夜と告別式を告げる看板が式場の前に建てられていた。


息子の名前が書かれた看板を見て、現実に引き戻される。
まさかこんな看板を目にする日が来るとは……


祭壇は家族葬用の小じんまりしたものであったが、それでも十分すぎるほど豪華だった。


実は僕も大学時代……葬儀屋のアルバイトをしたことがある。だから、棺桶の良しあしとかのだいたいの見分けはつけることができるんだ。


息子の棺は明らかに豪華だった。
正直、経済的に余裕がない今、こういうところは金をケチるところかもしれないが……
でも、大切な僕の息子だ、ここは金に糸目をつけちゃ駄目なんだろう。


息子は静かに眠っていた。


頬に触れてみる。当然のことながらに冷たい。


棺桶に入った息子を見て……どうしても火葬のイメージがわいてくる。
僕は気がつくと、周囲の忙しいスタッフなど気にすることなく号泣していた。


悲しい。悲しい、悲しい……


泣いているうちに、打ち合わせの時間……スタッフにとっては、ただの1件の『仕事』でしかないことは分かっている。


嫁がやってきて、そして……告別式に来てくださるお坊さんがやってきた。


聞けば立派なお寺の住職様だ。一目見れば、人間的にも素養のある素晴らしい人だと分かった。


もうする告別式が始まる……


つらいつらい……息子との最後の別れが徐々に近づいていた。




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