いー君といっしょ

2015年11月20日……
最愛の17歳の息子を自死で失いました。
悲しみの記録と、彼の歩んだ道、そしてこれから残された家族三人の日々を記します。

日にち薬では完治せぬ病

子供を失ってから結構な月日が流れた。


低空飛行ながらも、家族はそれぞれに日にち薬が効いてきた……気がする。


だけど、完治はしない。永遠に。分かっていることだけど……


世の中に流れてくる悲しいニュース。


子供の無垢な命が失われるたび、自分の子供のことを思い出す。


うちの子供の死も……僕にとっては人生最大の悲しみだけれども……


たぶん……きっと、世の中じゃすぐに忘れられるニュースの一つなんだろう。


現場を検分した刑事さんも……


救急車で心臓マッサージをした救急隊員さんも……


臨終を宣告したお医者さんも……


お経を上げた住職さんも……


誰もかれも、もう息子のことなんか覚えていやしないだろう。


残っているのは、僕たち家族の心の中にだけ。


死の引き金になった息子の彼女の心の中には残っているのかな……


あと何年かが立てば……きっと霧のように彼女の心の中から消えてしまうのかな。


忘れようとしては思いだす……


忘れようとしては、また思い出す……


たぶん、日にち薬の効用はこれが限界。


たぶん、今夜も、明日も明後日も……


忘れようとしては、また思い出すんだろう。


救急車のサイレンの音。土気色になった息子の脚。泣き叫ぶ妻の声。


一生、死ぬまで思いだすんだろう。


あの日のことを。


忘れちゃいけない、あの日のことを。

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