深まりつつある季節
また秋が来た。
食欲の秋、芸術の秋……
世間にとっては楽しい季節だろう。
でもこの季節は、僕にとっては……哀しい記憶を呼び覚ます季節だ。
土気色になった息子の肌。首にくっきりと残る首吊りのあと……
生まれて初めて乗る救急車。一生懸命心臓マッサージをしてくれる救急士さん。
皮肉なことに、消防署が家のすぐそばだ。
サイレンを鳴らし出動するたび、いつもあの時のことが思い出される。
分かっている。こんな悲しい思いをしたのは僕だけじゃない。
同じ空の下……大切な子供を失った人が、数え切れないほどいることを。
同じ季節に、同じ縊死で子供を失った人がいることを。
みんなこんなふうに……あの時の悲しみを思い出しているんだろうか。
親を失うよりも……
国を失うよりも……
星を失うよりも……
とてもとても悲しい……子供を失った同じ境遇の人たち。
なんでこんな悲しいことが……僕たちに与えられたんだろう。
神様の試練?……仏さまの試練?
冗談じゃない、そんなこと頼んだ覚えはない。
与えられた試練なら……そんなものには背を向けてやる。
乗り越えるなんてクソ食らえだ。
子供を……子供を返してくれクソ野郎。
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