いー君といっしょ

2015年11月20日……
最愛の17歳の息子を自死で失いました。
悲しみの記録と、彼の歩んだ道、そしてこれから残された家族三人の日々を記します。

いー君といっしょの新着ブログ記事

  • 悔しいけど……日にち薬

    また久々に書こう。 大事な人の死も、日にち薬が忘れさせてくれる。 そんなことを息子の死に際して聞いた時、そんな馬鹿な。一生こんな悲しみから抜けられるか!……って心の底から思った。 でも悔しいけど……それは真実。 逆に言えば、大事な人の死という事実の束縛から脱する方法はそれしかない。 僕もいい環境の... 続きをみる

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  • 僕が進むべき道は……

    長い間ここには書いてなかったな…… 障害を隠しながらだけど、新しい職場はものすごくやりがいもあって、いい人たちに囲まれて、幸せに過ごせている。 僕の家族も、悪いなりに日常を生きている。 昨日は息子が生きていれば19歳の誕生日。 そんな時に、嫌なものを目にしてしまった。 息子が死ぬ原因になった彼女に... 続きをみる

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  • 日にち薬では完治せぬ病

    子供を失ってから結構な月日が流れた。 低空飛行ながらも、家族はそれぞれに日にち薬が効いてきた……気がする。 だけど、完治はしない。永遠に。分かっていることだけど…… 世の中に流れてくる悲しいニュース。 子供の無垢な命が失われるたび、自分の子供のことを思い出す。 うちの子供の死も……僕にとっては人生... 続きをみる

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  • 変わってしまった『家族』という意味

    色んなところに行ったなぁ…… 先日、温泉にぼーっと浸かりながら、いろんなことを思い出していた。 近畿のど真ん中に住んでいるから、四方八方いろんな観光地に行った。 色んな景色を見て、いろんな思い出を作って、いろんな体験をした。 楽しかった……毎週振り回されるみんなは大変だったろうけど。 仲良く楽しい... 続きをみる

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  • 我が家には訪れない春

    息子が通っていた仏教系の高校からもらった香典代わりの高価な線香がそろそろ尽きる。 甲子園で何回も優勝している有名校。 息子も、ブツブツいいながら甲子園の応援に駆り出されていたな。 ……と、ふとそんなことを思いながら、仏壇に向かって手を合わせる。 彼の遺骨はまだ仏壇の横に置いてある。 お寺の住職さん... 続きをみる

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  • たった年間300人の親として

    ボーっとネットを見てたら、一つの記事が興味を引いた。 去年の中高生の自死者が、一気に80人も増えて380人ほどだったという。 少子化で子供が減っていく中、自死を選ぶ子供が増えている。 でも、たったの300人……20000人強の年間自殺者数の中での300人。 一番夢と希望を持つであろう、その年代にう... 続きをみる

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  • 夢の中でやっと逢えた!

    今朝見た夢は、本当に幸せな夢だった。 息子にやっと逢えたんだ。それも長い時間、濃密に。 舞台はウチの能登の実家の部屋。 まるで当たり前のように息子が生きて座っていた。 もう感無量になって抱き締めて、何度もごめんって謝った。 抱きしめて、頭をいっぱい撫でた。 温かかった。生きていた。 たくさん話をし... 続きをみる

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  • いっそあの娘を恨めたら

    今日ぼんやり、テレビの刑事ドラマを見ていた。 不慮の事故で幼子を亡くした母親が犯人で…… 事故を起こした相手を殺した殺人事件の話。 涙腺が弱いのか、ぽろぽろ泣いてしまった。 ウチの息子の自殺の引き金を引いたのは、息子の彼女だ。 悪い子じゃないのは分かってるけど…… ネットを禁止にしておけば、彼女と... 続きをみる

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  • 絶望を残して……僕は救えなかった

    テレビのニュースで、取手市のかわいい女の子がいじめで自殺したと聞いた。 担任もグルになってのいじめ……どんなに辛かったことだろうか。 親は助けてあげられなかったんだろうか 世の中に絶望しての、死の決意……本当に気の毒でならない。 ウチの息子は、ちょっと違うんだけど……年上の彼女からのきつい仕打ち。... 続きをみる

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  • 三回忌を迎える君へ

    早いね。あの日から2年が過ぎた。 あの日の君の『決断』は、正しかったのか……僕には分からない。 ただ、全ての歯車が狂ってしまって…… 君という存在が、家族にとってどれだけ重要だったか思い知らされている。 君の妹は、もうずっと不登校だ。多分もう立ち直れない。 何か書き遺してあげて欲しかったな。 僕と... 続きをみる

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  • もうすぐ三回忌

    今年もやってくる。あの日がやってくる。 木枯らしが吹く、秋の終わりを告げる季節。 寒風の中、人生で一番泣いたあの日がやってくる。 TVの中では、今日も小6の女の子が自殺か……との報道。 なにも変わらない。変えようとしても変わることはない。 昨日も、今日も、明日も、明後日も……子供たちは自分で命を絶... 続きをみる

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  • 基本的な解けない疑問を抱いて

    今日も犬の散歩で、尻尾を振って走る犬の背を追う。 追いながら、ふと何度も浮かんでは解けない問いが浮かんでくる。 なんで息子は、死を選択したのだろう。 彼女とのけんかが引き金なのは分かっている。でもそれだけじゃない。 死を選択するには……例え突発的であれ、もっと理由があるはずだ。 高校受験での挫折、... 続きをみる

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  • 君の名を世界へ~僕が創作を続ける理由~

    さっき、ついちょっと思い立って、自分のHNをエゴサーチしてみた。 眉丈千羽じゃない、メインの活動名だけど…… そしたら海外の人が、僕の作品を紹介してくれてる記事に当たった。 日本語が分からない人にも、一応作品のコンセプトみたいなのは分かってくれてるんだなぁ、と妙な考えを抱きつつ、自分の記事に目を通... 続きをみる

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  • 深まりつつある季節

    また秋が来た。 食欲の秋、芸術の秋…… 世間にとっては楽しい季節だろう。 でもこの季節は、僕にとっては……哀しい記憶を呼び覚ます季節だ。 土気色になった息子の肌。首にくっきりと残る首吊りのあと…… 生まれて初めて乗る救急車。一生懸命心臓マッサージをしてくれる救急士さん。 皮肉なことに、消防署が家の... 続きをみる

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  • 笑顔は玄関の君の写真だけ

    歯車が狂ったまま、家族という車輪は回転し続けている。 娘は相変わらず僕に心を開いてくれようとはしない。 たった数年前までは、笑顔であふれていたうちの家庭。 いまでは誰ひとり笑うものはいない。 笑い声は聞こえるんだ。 居間からのテレビ番組に笑う妻と娘の空虚な笑い。 心からの笑顔は……心からの笑いはも... 続きをみる

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  • 抜け殻……と思っちゃダメなんだけど

    相変わらずの低空飛行の毎日が続く。 なにも良くなったところもなくて、かといって悪くなったところもない。 死んだ子供は帰ってこないし、嘆いたってどうなるもんでもない。 ショッピングモールで見かける幸せな家族、親子連れ…… もう僕には手に入らない至福の時間。 みんな……一寸先の人生が闇かもしれない……... 続きをみる

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  • 釣れたね、良かったね

    いー君が行きたかった場所。 魚を釣り上げた時のうれしそうな笑顔。 釣竿を持って歩いて帰る帰り道……『パパ、また行こうね』の言葉。 あの日の約束は果たされぬまま。 でも、昨日いー君を連れて、釣り公園に行ってきたんだ。 たくさん釣れたね。 竿は2本出した。僕の分と、いー君の分。 たくさん釣れたね。天気... 続きをみる

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  • もう拳は振り上げられないから

    娘の不登校が続く。 完全なインターネット依存症……になってるように感じる。 出口が見えない…… 当然だろう、もうあの頃の『家族のあるべき姿』はもう手に入らない。 4人の家族の中の1人が死んだ。 そう、それはものすごく大きなこと。 残された3人は、一生言えない大きな傷を負った。 もう心から笑うことも... 続きをみる

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  • 君がいた部屋の窓の向こうに

    いい天気の日々が続く。 いー君の部屋は『あの日』のまま。 なにも増えていないし、なにも減っていない。全てはあの日のまま。 部屋のドアを開けるたび、彼の懐かしいにおいがする。 天気のいい日は換気をしてあげるんだ。 窓の外には、月桂樹の新緑の若葉。 冬の間に、カイガラムシにやられてしまっている枝を、僕... 続きをみる

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  • カバーをかぶったままの君の自転車

    いい天気。 庭にもまだちょっと早いけど初夏の気配。 ウチの玄関の前には自転車が2台。 ひきこもったまま不登校の娘の自転車と…… そして君という主人を失ったもう一台の自転車。 鼠色のカバーをかぶったまま、2度とだれも乗ることもなく、静かにたたずんでいる。 君が学校に行っていたあの日の自転車。 サドル... 続きをみる

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  • 君の横には彼はいなくて

    不登校の中学校の娘が、最近子供の時に抱いてたお人形さんと寝るようになった。 幼児返りなんだろうが仕方ない。 いー君が生きていたときは、良く小競り合いがあって泣かされていた娘。 いま、娘の横にはだれもいない。喧嘩する相手もいない。 ただお人形さんだけが、彼女の支えなのかもしれない。 兄妹……この世で... 続きをみる

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  • 増えない君のレパートリー

    君が好きだったカラオケに行く。 そう、君が行く3日前も、パパ……カラオケに行きたい。君はそう言ったね。 時間が遅かったからまた今度行こうね、って言ったけど…… あの時無理して君を連れていけば、運命は変わったのかな。 悩みを打ち明けて、君の話を聞いて思いとどまらせることができたのかな。 いまとなって... 続きをみる

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  • 必要じゃなかったのかな

    遺伝子……DNA…… ふといろんなことを考える。 世の中、必要じゃないものは淘汰されていく。 物事、道具……そして生命。 必要なものだけが選別されて、世の中に残っていく。 僕は生れてはいけなかった命だ。 発生した時点でエラーだった産物。障害者。 そんな僕が、頑張って……健常者に負けないように働いて... 続きをみる

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  • 「ち・が・や」

    僕の誕生日のころには、毎年チガヤの花が咲く。 正確に言えば、花とは呼べないのかもしれないけど…… 銀色の穂みたいな花が、道路の隅に生える雑草として風にたなびくのだ。 『ち・が・や』……って言うねんな、お父さん! 僕は雑草に詳しいから、特徴的な雑草は言えるように、息子に教えるようにしていた。 まだ小... 続きをみる

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  • 歳をとるべきは僕じゃないのに

    今日……47回目の誕生日を迎えた。 時を刻むべき大切な子供が、時間の歩みを止めて…… 世の中に不要な僕が、無駄に時を刻み続けている。 もう一年半になるのか、僕の寝室の隣の息子の部屋に明かりが灯らなくなってから。 息子が歩みを止め…… 僕はどんどん先へと歩いていく。 このままこんなことを続けたら……... 続きをみる

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  • 雨が降る朝、君がいない朝

    朝5時……変な時間に目が覚めた。 最近『日にち薬』で、徐々に悲しい事を忘れつつあるのは事実だ。 でも雨音を聞くと……なぜなんだろう。 虚無感と寂寥感に心が包まれる。 息子がいない現実。 息子を救えなかった現実。 息子を大人にしてやれなかった現実。 息子に夢を見せることができなかった現実。 息子に未... 続きをみる

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  • 君の夢の中で生き続ける

    嬉しい事があった。 息子が死ぬ原因になった息子の彼女…… 警察の指導と親の意向で、僕と直接はコンタクトを取ることができない。 でも、ツイッターで空リプしあって近況は大体つかめている。 今日の彼女のつぶやきで、息子が彼女の夢に出てきた事を知った。 嬉しい……彼女の中で、まだ息子は生きているんだ。 息... 続きをみる

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  • 外れたままの線路を走る

    相変わらず脱輪したまま、時間という汽車は走り続ける。 もう幸せなんて終着駅が無いと分かっているのに、時間という汽車は走り続ける。 僕の障害、嫁の苦悩……そして娘の不登校。 なにも変わることはない。 脱輪が治ったところで、幸せという駅にはたどり着けない。 たぶん新学期が唯一の復帰のチャンスだったんだ... 続きをみる

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  • 転んだ痛みと君の痛み

    ダメだ!……と思う時にはもう遅かった。 駅を降りて歩いて帰る途中、ふと意識が遠くなったと思った瞬間倒れ込んだ。 もう歳なのか、手をつこうにも手が出ない。 棒立ちの状態のまま、そのままばたんと倒れた感じ。 倒れた瞬間から倒れるまでがスローモーションでものすごく長く感じた。 こんな感じなんだろうか、死... 続きをみる

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  • 君の部屋はあの時のまま

    もうどれくらいになるんだろう…… 1年半になるのかな。 息子の部屋は、いまもなおあの時のままにしてある。 今日は天気がいいから、部屋の窓を開けて換気してある。 片付けられるはずがない。片付ける理由もない。 片付けたって、新しい人が使うわけじゃない。 いつ奇跡が起きて、息子が生き返って帰ってきてもい... 続きをみる

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  • 輝いたあの日が確かにあって

    最近保険会社や車のコマーシャル…… なんか幸せそうなちいさな子供のいる家庭を描いた情景がテレビから流れる。 光り輝く家族の笑顔。楽しそうな時間…… 素敵な家族の思い出をいつまでも……って感じ。 ウチにもそういう時間は確かに存在したんだ。 はちきれんばかりの息子の笑顔。 楽しい家族の時間…… 光り輝... 続きをみる

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  • 今日も聞こえる救急車の音

    ウチは消防署のすぐ近く。 大病院もウチの家のすぐ近く。 便利でいいんだけど…… いつも聞こえるんだ、あの音が。 救急車の音がひっきりなしに鳴り響く。 あの日を思い出すんだ。 息子が搬送されたあの日のことを。 土気色なった息子の足を、僕は何とも言えない気持ちで見ていた。 一生けん命救急隊の人が、息子... 続きをみる

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  • ゆがみ ~全てはあの日から~

    全て額膜行かず、ちぐはぐな日々が続いている。 娘は結局3学期、引きこもりのまま終わってしまった。 新学期からどうなるのかもわからない。 まあ……大好きだったお兄ちゃんが、あんな形で死んだら、そりゃ色々歪むよな。 僕は結局、会社にわざと障害を知りつつ苦手な場所を押し付けられ、復職はポシャってしまった... 続きをみる

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  • 確かに君は笑ってたよね

    突然思い立って、本棚の整理をしていた。 もう一生読まないような本や、むかしのゲームの攻略本…… 今度ブックオフにでも売るかな。 本を重ねてまとめて行く。 ふとビニールにくるまれた写真の束が出てきた。 息子の幼稚園時代の運動会の写真だ。 小さな体を精いっぱい伸ばし、組み体操をしている写真。 お弁当を... 続きをみる

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  • 家族という名の壊れて止まった時計

    娘の不登校は続いている。 正直手の打ちようがない、厳しくすれば何かあったら困るし。 さりとて、このまま堕落して思い詰めればやはり…… 夫婦ともども正直手が出せない。 でも、この小さな女の子の心をえぐった大きな爪痕を考えると…… 自分も思春期に大好きなお兄ちゃんを失えば……たぶん正気でいられないと思... 続きをみる

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  • 灰色の世界をひたすら漂う

    ここ1カ月……ただの生ける屍と化していた。 なにも考えられない……考えたくない。 げんこつ山のたぬきさんを聞きながら、ブロックで遊ぶ小さい頃のいー君。 分かってる、あの日は帰ってこない。 小さな君を肩車をしながら、赤く染まる秋の野山を駆け回った楽しい思い出。 分かってるあの日は帰ってこない。 小学... 続きをみる

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  • 前向いて立ちあがってんじゃねえ

    ちょっと息子の生前の彼女のツイッターが気になったので、のぞいてみた。 息子とのおそろいのアクセサリーの画面が、ゲームの画面に変わっていた。 分かってる…… 彼女もいつかは息子を忘れて、前を向かなきゃいけないってことを。 でもな……でもなぁ。 まあ1年ちょっと……ちょうどいい時期なのかな。 当然僕ら... 続きをみる

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  • 100年たっても消えない想い

    悲しみは時が解決してくれる。 人間は忘れる生き物だ。哀しいことを忘れられるから生きていける。 えらいお坊さんや、哲学者さんはそういうんだ。 確かに…… 味噌汁をこぼしただの、電車に乗り遅れただの……そんなことは忘れられるかもしれない。 でも…… どうしても、子供を自死で失った悲しみだけは、時間でも... 続きをみる

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  • 弱くなれる場所

    メンタルは若干回復してきた。 玄関に大きく飾ってある、息子の笑顔のピース写真…… 見るたびに心が安らぐのと同時に、心が締め付けられる。 心の沈みに反して、創作活動の方は順調だ。 中華方面で自分の作品群がさらされたのか、中国語圏を中心にフォロワーさんが爆発的に増え、ブログの来訪者数も1.5倍になった... 続きをみる

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  • 幸せになれないプログラム

    幸せは必ず踏みにじられる。 幸せだと思ったら、絶対地獄にたたき落とされる。そんな人生を生きてきた。 昔なら、産婆さんに産まれた瞬間に〆られなければなかった存在。 出来そこないのポンコツが、自然の摂理に逆らって生きてきた。 だから罰を受ける。 生きているだけで罰を受ける。 幸せになろうとすると、空の... 続きをみる

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  • 全力で笑えているのかな

    あっという間に年末…… テレビのバラエティ番組が充実してきた。 階下のリビングから、妻と娘の笑い声が聞こえてくる。 いいこと……なのかもしれない。 悲しみを忘れる事が出来ているのなら。 たった一瞬でも……あの日の事を忘れられずにいられるのなら。 君が居なくなった家。 何かが欠けてしまった家。 少し... 続きをみる

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  • 止まらない止められない連鎖

    あんまり暗いこと書いてても仕方ないので、少しこの場から離れていた。 家庭は少しずつ、彼の掛けた日常に慣れ始めている。 僕もまた、なんとか障害を引きずりつつずっと生きている。 知らないうちに、沢山の新しい人のブログが生まれている。 それぞれがものすごく悲しい物語。 それが止まることなく、新しくどんど... 続きをみる

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  • 狂ったままの歯車

    ずっと体調が思わしくない。 妻も何か憔悴しているような感じがする。 娘の不登校状態は続いている。 あることがきっかけで、何もかもがうまく回らなくなっている。 家族が一人欠けること……ものすごく大きな意味があるんだな、と思う。 正直自分も立ち直れない。立ち直れるほど強くない。 ふさぎ込む娘に掛ける言... 続きをみる

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  • 潰えた沢山の名前と沢山の物語

    昨日は自死者の合同法要に行っていた。 去年と同じく素晴らしい法要だった。 自死に向き合う関西僧侶の会の皆様には、本当に感謝したい。 もちろんのこと……息子に会えるのでは、と思ったけどやっぱり霊感もないしダメだった。 でも、法要開始時に、消えるはずの無い電燈が一瞬消えたり…… 法要の終わりに、自死者... 続きをみる

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  • 蒙古斑

    日付が変わった。 今日は自死に向き合う関西僧侶の会の方々が開いてくれる、自死者の合同法要の日だ。 思えばもう1年になる。早かった。 思い切り泣いてこようと思う……最近自分の気持ちを吐き出す場所が無かったから。 ふと息子の事を思い出していたんだ。 彼が死に踏み切る数日前…… 彼がカラオケに行きたいと... 続きをみる

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  • また君に逢えたら

    ことしも、自死に向き合う関西僧侶の会の皆様が開いてくださる法要に来週参加する。 去年はまだ子供を失ったばかりで、ゆっくり考える余裕がなかったけど。 ある研究のお手伝いをした僧侶の方の話では、法要中に沢山の自死者の人が姿を見せてくれるんだとか。 霊感のない僕には解らないけど…… でも、会える気がする... 続きをみる

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  • ムノウノ ラクイン

    『だから、この人は普通の人みたいに、障害で一人では何もできないんですよ!』 主治医の言葉を僕は黙って聞いていた。 復職面談のために集まった会社の人、障害者支援の人、そして呼ばれた嫁。 医者がいうんだから、それは事実なんだろう。 実際に重度の障害の僕は、何にも出来ない人間だから。 そうだよ。 そう。... 続きをみる

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  • 僕が選びとりたい、たった1本の道

    今日ツイッターに……彼女なりの考えなんだろうけど、息子が彼女に向けた最後のメールを公開していた。 辛かった。 涙が出た。 頑張ろう。 運命を切り開こう……そう考えたこともある。 でも、もういろいろ疲れている。 頑張ったって、息子は帰ってこない。 一生懸命生きたって、息子は帰ってこない。 物語を始め... 続きをみる

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  • 君が居なくなって1年

    日付が変わった。 今日で1年になる。 色んな事を考え、悩み、迷い、生きてきた。 あの悪夢の日からもう1年が過ぎた…… 嘘であって欲しい。 息子がいなくなったなんて嘘であって欲しい。 そう思っている自分がある。 でも、すでに出された結果は覆らない。それは痛いほど分かっている。 これまで子供と過ごした... 続きをみる

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  • 湧きあがる黒い感情

    どうしてだろう…… 自分の中には、2つの自分がいる。 近所の……街角の……母親に連れられた小さい男の子。 それを見て優しく温かい心になる自分。 子供が元気な親が憎い……湧きあがる黒い黒い感情。 もちろん後者の方の気持ちを認めちゃダメなのは分かっている。 でも、うらやましいんだ。 生きている男の子を... 続きをみる

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  • 一周忌を前にして

    いよいよ来週が一周忌だ。 あの悪夢からもう一年になる。 人間残酷なもんで、あれだけの慟哭と苦悶の出来ごとが、1年たてばある程度は冷静に受け止められるようになっている。 家族もまた、日常を取り戻している。 明らかに一人欠けているのに……みんなまるで何事もなかったかのように。 あの時あれだけ泣き叫んだ... 続きをみる

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  • ドングリ拾いと肩車

    この季節…… いつもいー君が小さい時、街の山の公園に行ってドングリを拾いに行ったんだ。 夢中でコンビニ袋に、ドングリを拾っては嬉々として入れるいー君の姿。 楽しかった。 幸せだった。 こんな時間が永遠に過ぎるものだと思っていた。 公園からの帰りは、疲れた君を肩車。 君は小さくて、とても軽くて。 と... 続きをみる

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  • 勝手に回り出す日常の歯車

    いー君がいなくなって、もうすぐ1年だ。 それなりに僕たちは落ち着きを取り戻し、日常の歯車を回し続ける。 『恋人と親は悲しむが、3日とたてばもと通り』 ……そんな歌があったな。生きてることが辛いなら……だ。 3日は大げさだけど、彼が最初からいなかったかのように…… 日常の歯車は非情に回り続ける。 こ... 続きをみる

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  • もうすぐ1年

    もうすぐで息子が逝って1年になる。 もう一生胸を引き裂かれる悲しみに苛まれるのかと思ってた。 いや、確かにものすごく苦しくて悲しい。 でも、人間上手く出来ているもんで、冷静に息子の死を受け入れることも出来ている。 もうどんなに泣いたって、子供は帰ってこないから。 どんなにダダをこねたって、息子が死... 続きをみる

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  • 上目づかいはもう嫌だから

    いー君は、その場の空気を読んでくれるいい子だった。 賢くて優しくて…… でも、ときどき僕の顔を上目づかいで見てたよね。 僕もそう。 重度の発達障害で、人の気持ちが分からないから。 思っている流れと、すぐに違う方向へ行っちゃうから。 迎合しちゃうんだよね。 どうやったら嫌われないか、どうやったら怒ら... 続きをみる

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  • 君の幼き面影に

    ふと昔の暮らしを思い出し、胸が苦しくなった。 むかしは僕の実家で暮らしていた。 ウチの母親が、いー君をとても可愛がってくれ、お風呂の後はいつも面倒を見てくれていた。 お風呂上がりに童謡を聞きながら遊ぶ、幼きいー君。 可愛かった……本当に可愛かった。 そして何より、いー君は永遠に存在してくれると思い... 続きをみる

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  • 幻のパスポート

    そういえば…… 息子の修学旅行って、生きていたらそろそろだったのかな。 シンガポールだったそうだ。 写真を撮って、手続きして……息子のもとに届いたパスポート。 もうそれは、使われることもなく、我が家に寂しくたたずんでいる。 君が手にしたのは……天国へのパスポートだったよね。 そんなモノ、急いで取得... 続きをみる

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  • 今年も行かなきゃ

    自死と向き合う僧侶の会の事務局から、今年も年末の法要の申し込みのお手紙が来た。 去年の息子の死から1年……早いな。 前回は、息子が死んでから、たった2週間ぐらいでの出席だったっけ。 まだ実感がわかなくて、ふわふわしてたような気がする。 今年は泣かずにしっかりと、お参りしようと思うんだ。 宗派を乗り... 続きをみる

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  • 君の望みをかなえに行くよ

    『パパ、面白かった。また連れてきてな』 大きな魚が釣れた時の君の笑顔、夕暮れの中を歩く僕たちの姿。 海に行こうって約束してたよね。またこの釣り場に来ようって。 あんなに楽しみにしてたはずなのに…… 約束守れなかったね。 仕方ないよ、君がいなくなってしまったから。 でも、行こう。 水曜日、君の遺骨ペ... 続きをみる

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  • 2カ月後……きっと君に会えることを信じて

    そういえば、今年も自死に向き合う関西僧侶の会の皆さまが、12月に法要を執り行ってくれるそうだ。 今年も出席しようと思う。 法要を行ってくださった、1人の僧侶の方とじっくりお話しする機会があった。 その方のお話では、複数の方から『会場に亡くなった方々が沢山帰ってきておられるのが見えた』との参列者の人... 続きをみる

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  • 退院、時々食中毒

    病院を退院してきて数日。 本来すぐに退院報告を描きたかったんですが、そこから数日食中毒で39度の連日の高熱地獄の日々。 やっぱりうまくはいかないもんです。 原因は10月17日のいー君の誕生日に、退院祝いも兼ねて焼き肉に行ったため。 その生肉に当たったんですよね。 入院が約一カ月。気がつけば周囲はあ... 続きをみる

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  • 入院中です

    外出許可をもらって自宅に戻ってきました。 息子のところへ行けると思ったんですが…… 力が足りないのか、運が無いのか、行くことができませんでした。 息子に会うことを許してもらえないのか…… それともまだこの世でなすべきことがあるのか。 やっぱり寿命を待つしか方法はなさそうです。 にほんブログ村

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  • 行きかう若者を見つめて

    今日日曜日は、コミックトレジャーというイベントに参加。 まあ、有名な東京のコミケの関西版と言ったところ。 友達のブースに寄生して立たせてもらうんだけど…… 明日もきっと、楽しそうな人々が目の前を行き交うんだろうな。 いー君も出来れば、その中の一人であって欲しかった。 彼女なんかいなくてもいい、オタ... 続きをみる

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  • 数百年の連鎖の果てに

    今日実家に帰った時、何とも言えない話を母から聞いた。 弟も大きな企業に勤めているが、そこの社長さんからか経緯は知らないが、社長や代議士からの依頼しか受けない拝み屋さんを紹介してもらったらしい。 本来能登の寒村なんかに出向く人じゃないんだが、弟の顔を見てすぐに能登に弟と、そこの会社の社長さんと同道し... 続きをみる

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  • 全ての人の魂の戦い

    ここ数日、ちょっと厄介なことになっている。 弁護士さんが動いてくれて、現在はある準備を進めている。 会社関係者が見てるかもしれないから、詳しく書けないんだけど。 あの場所、あの時間、あの空間に僕ははっきりと見えたんだ。 半透明で部屋の隅にたたずむ君。 ものすごく悲しそうに立っていた君。 崇高な魂を... 続きをみる

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  • 娘の夢~きっとかないますように~

    いま、嫁に娘が本を借りてきた事を起こして聞いたんだ。 嫁にいろいろ話を聞いた。 娘はカウンセラーになりたいという夢を持ったそうだ。 素晴らしいことだと思う。 二度と……お兄ちゃんのような、悲しい最期を迎える人が出ないように。 一人でも多くの人を救えるように。 ちょっと僕は嬉しくなった。 夢を追おう... 続きをみる

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  • 理由を求めて

    娘が、学校から1冊の本を借りてきていた。 『人はなぜ死のうとするのか』 あまり見たくはない本だ……でも、娘は娘なりに、何も自分に書き残さずに逝ったお兄ちゃんの心を知りたいのかもしれない。 もしくは、まさか自分が……いや、そんなことは考えたくもないけど。 でも僕は、娘にその本を読むなと止める権利はな... 続きをみる

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  • 本当は潰れそう

    前向きに生きて行こうとしても、どんなに自分に言い聞かせても…… やっぱりいつも思い出すんだ。 悪夢のようなあの日のこと…… そして幸せだった頃、小さな無邪気な息子の笑顔。 子供が死んでもうすぐ1年。でもやっぱり諦めきれない。 もっと自分がしっかりしていれば…… もっと相談してくれるほどの信頼を得ら... 続きをみる

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  • こんな思いはして欲しくないから

    いまニュースで、夏休み明けの中高生に自殺が多いというニュースをやっていた。 どんな特徴的な前兆があるとか…… ウチのリビングは微妙な空気に…… 僕らに取ったら手遅れなんだけど、前兆に気付いて止めてあげて欲しい。 普通の家庭の人は、でもこんなニュース見ても他人事なんだよね。 まあ、仕方ないのかもしれ... 続きをみる

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  • 君が遺したすべての人への想いに

    ここ数日、ふさぎ込む日々が続いていた。 気持ちを前向きに持って行こうとしていたんだけど、どうしても息子を思い出す。 なぜ死ななければいけなかったのか。 なぜ助けてやることが出来なかったのか。 僕に出来るベストは尽くせたんだろうか…… 去年からの同じ問いが、ぐるぐると頭の中をめぐる。 そんな答え、何... 続きをみる

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  • 両手を広げて、笑顔で

    ちょっと最近、こういう考えを持つようになった。 息子とこういう形で別れた……それはとても悲しいこと。 でも、そのことによって…… 自分が死ぬことが怖くなくなった。向こうで子供が待っててくれるから。 妻と死別れることが怖くなくなった。向こうで子供が迎えてくれるから。 飼ってるワンコ達が死ぬのが怖くな... 続きをみる

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  • やっちゃいけなかったミステイク

    最近考えることが少なくなってきたけど…… 昨日はぼんやり久しぶりに、息子はなぜ死ななければならなかったのかを考えていた。 自死するのは、その人が追い込まれると脳のスイッチが身体を殺すために入る…… とか書いてあったのをふと思い出した。 追い込んだんだろうか……救いの手は差し伸べられなかったんだろう... 続きをみる

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  • 当たり前に回り出す日常

    みんなきっと心の底では、まだあきらめ切れていない。 妻も娘も…… でも、いー君がいない生活が当たり前のこととして流れ始めている。 今日は僕が留守番、妻と娘はボーリング。 僕はボウリング100点出せないボーイだから、やらない。 でもいー君は、ちょうど去年の今頃、ボーリングに行ってたんだよね。 家にだ... 続きをみる

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  • 4つのどんぶり

    昨日は嫁の帰りが遅かったこともあり、インスタントのカレーうどんにしようということになった。 まあ、味は調整されたものだから悪くない。 でもなんかもの足りない。 ご飯もたいてないし、何か冷凍食品はないかな……と冷蔵庫をあさる。 ふと、視線が食器棚に目が行った。 家族分買った、緑のどんぶり。 3つはリ... 続きをみる

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  • 僕の後ろに君がいるから

    明日はまた、復職のための打ち合わせ。 正直会社は、障害者を障害物としか思ってない。 辛い言葉を平然と投げかけては、崩れた障害者に、ほら崩れた復職は無理だ……の繰り返し。 正直分かり合うことなんかできやしない。 でも僕は前に進まなきゃいけない。 復職できなきゃ、君に申し訳ないんだ。 そうだ、僕の背中... 続きをみる

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  • 明日は初盆

    明日は、初盆の日だ。 準備は全部妻がしてくれた。こういうときは本当に頼もしい。 参加するのは、ウチは両親だけにしてもらった。 また嫁の一族が、大挙してやってくるからな。 正直、しんみりした雰囲気で迎えたいんだけど…… また妻の一族でワイワイガヤガヤうるさくなるんだろうな。 もう半年以上がたつのか…... 続きをみる

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  • あの想いは2回はさせられない

    正直、心の傷がひどくリアルじゃ立ち直れないでいる。 ネット界では裏名義の創作アカウントが順調だから、サイトの閲覧数も創作も快調…… ものすごく矛盾した2人の人間がいま、この身体に住んでいる。 リアルの人生が辛い。 正直消えてしまいたくなる、消えたら楽なんだろうな…… でも、だめなんだ。 妻には何に... 続きをみる

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  • 能・力・不・足

    木曜日に、会社の上司と、病院の主治医と復職面談があったんだ。 結果から言うと、復職はまた延期になった。 僕のメンタルが安定しきってないこと…… それよりも何よりも…… 僕の障害はどんなにあがいたって健常者に追い付けない、健常者の社会の中で今のままでは、やっていくのが難しい……そう主治医に告げられた... 続きをみる

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  • 杞憂と笑う周りと、鬼幽に嗤われる僕と

    杞憂…… 馬鹿だね、子供が先に死ぬはずないじゃない。 去年の今頃の僕は、そんなことを当たり前に考えていた。 自分の子供が先に逝く…… そんな心配をする親なんて『普通』はいない。 市井に生きる『普通』の人々の脳内に、そんな考えはありはしないんだろう。 僕もそうだった。 『起こりうる絶対に起きてはなら... 続きをみる

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  • 命を見送る

    昨日は友達と、ちょっと遠出のドライブに行ってきた。 滋賀県の山の中の小さな渓流のそばの村。 せっかくだから、アユの塩焼きがあるから食べてみようよ、ということになったんだ。 店員さんにアユの塩焼きを注文した。 『今、網で捕まえてきたんですよ』 店員さんが、サービスなのか笑顔で言った。 そこには生きた... 続きをみる

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  • フラッシュバック

    『いややぁ!……絶対嫌やぁ!』 嫁の心からの慟哭を聞いたのは、人生で一度きり…… いー君を斎場で焼くときの、あの時だけだったかもしれない。 豪華でこぎれいな斎場、曇り空、嫁のお母さんがひきつけを起こし倒れた悲鳴。 いー君のお棺に『点火します』と係員さんが言ってボタンを押したあの瞬間。 そう…… 全... 続きをみる

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  • 護ってやれよ、彦星様

    昨日は七夕だった。 息子は去年の今頃……どんな願いを天の川にかけていたんだろう。 幸せそうだった……大好きな彼女を心から想い輝いていた。 最後は悲しい結末になったけど、彼女も十分苦しんだ。 僕はいまはもう、彼女には感謝の想いしかない。 息子に充実した日々をくれてありがとう。 幸せを沢山くれてありが... 続きをみる

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  • 君の選択~17年の延長戦~

    自転車で、いー君が去年の今頃元気に通っていた駅までの道を走る。 僕の通う駅は、地元の高校の子たちも利用するんだ。 手をつないで仲睦まじく歩く高校生カップルの姿に胸が痛い。 でも…… 去年の今頃は、ああやって歩いていたんだよね。 彼女と仲良く……将来も夢に見ていたのかな。 いー君は前にも書いたけど、... 続きをみる

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  • 並行世界の君におめでとうと花束を

    珍しく熱が出て寝込んでいる。 熱でうなされて眠っている間、ちょっとした夢を見た。 見たこともないチャペルでの結婚式の光景…… そこにいた新郎は、まぎれもなくウチの息子だった。 可愛いお嫁さんと一緒に、教会から出てきてみんなに祝福されていた。 とても幸せそうな2人の笑顔…… 周りの祝福の中、僕だけが... 続きをみる

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  • 「しんかんせん」のスプーン

    台所でフォークを探していた僕の目に、懐かしいものが飛び込んできた。 「しんかんせん」のスプーン。 生前、幼稚園時代にいー君がお弁当に使っていたフォークだ。 たぶん気にしなかっただけで、ずっとフォークの棚のところにあったのだろう。 いー君がいつも大切に使っていたフォーク…… 十数年経た今でも、印刷が... 続きをみる

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  • 何も伝えることはなかったのかい?

    いま……初めて気づいた。 遅い……遅すぎる。自分の朴念仁ぶりが嫌になる。 そうなんだ……いー君は、妹になにも書き遺していない。 僕たち両親だってかろうじて3行の遺書だ、それでもあっただけましかもしれない。 妹は……なにも書き遺してもらえなかった。 いー君、あわてん坊だし、余裕がなかったんだよね。 ... 続きをみる

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  • 主なき室外機

    窓の外を自室から眺める。 カラスザンショウの樹と……いー君の部屋のエアコンの室外機。 もうおそらく動くことはない。 主なき部屋のエアコンの、主なき室外機。 いー君は優しい子だったから、電気代がもったいないってめったに使わなかったっけ。 それでよく熱中症になって、学校を休んだんだよね。 いや……分か... 続きをみる

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  • 百万回のありがとうを君に

    今日はちょっとした本に出会った。 知り合いが教えてくれた青い小さな冊子。 精神科医の先生が書いた、ありがとうは魔法の言葉……みたいな薄い本だ。 ありがとう……幸せです、ありがとう…… 自己暗示をかけるかのように、何度も何度も書き連ねられていた。 そうなんだ忘れていた……哀しさだけでいろんなものを見... 続きをみる

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  • 歌を継ぐもの

    お世辞にも上手と言えないわめき声のような歌が、リビングから聞こえてくる。 いー君の妹の声だ。 スマホを買ってやったから、そこから動画を見てイヤホンをして一緒に歌っている。 いー君も歌が好きだった。 いつもイヤホンをして歌っていたっけ。 妹は正直近所迷惑レベルの下手さなので、なんとかしたいが…… ま... 続きをみる

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  • 梅雨が明けたら釣りに行こう

    パパ、また田舎の港に釣りに行きたい…… 生前のいー君が良くいっていた言葉だ。 うちの田舎の能登半島……そこから先端へ進むと、そこは魚の宝庫だ。 関西では一日20匹釣れたら上出来なのに、人口の少ない田舎だから、港の堤防から水面を見ると、魚影で真っ黒になっており、撒き餌をしようものなら波しぶきが立つく... 続きをみる

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  • 蒼き抜け殻

    僕の寝室は荒れたままだ。 あの時から時間が止まっている。 何せ急な葬式だったから、家の雑多なモノは葬式の時に寝室に全部押し込んだ。 そして、部屋の中には…… まだいー君が中学校の時に来ていた、青いジャージの上下がそのままになっている。 そろそろ手をつけなくちゃとは思ってる。 手をつける……なぁ。 ... 続きをみる

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  • 君が毎日通った軌道の上で

    毎日毎日…… もう何か月同じ電車で同じ場所に通っているんだろうか。 これまでの人生ほとんど自動車通勤だった僕が電車にこれだけ揺られるのは、社会に出たての銀行員の頃以来だ。 心の中で割りきれているはずなのに…… 息子と同年代の子たちを見ると、何となく胸が痛いんだ。 かすかに見覚えのある、通学用バッグ... 続きをみる

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  • 梅雨空と短編小説の君と

    今日の遺族会も有意義だった。 やっぱり、こういう集まりって大事なんだ。 弱音を堂々と吐き出して、沢山の人と分かち合いが出来る場所。 自死遺族と言っても、それぞれの人が、それぞれの物語を持っている。 亡くなった人たちの歩んだ道も、多種多様なんだよね。 それぞれがそれぞれの一生という物語を、書き終えて... 続きをみる

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  • さあ、遺族会へ行こう!

    明日は遺族会だ。 多くの同じ境遇の人たちが集まり、力いっぱい泣ける日。 詳細は会の約束だから話せないけど…… 僕よりとっても辛い人たちが、沢山たくさんいるんだ。 僕は少し……いー君の現実を飲み込めたような気がする。 もうだれにも頼らずに歩いていく力があるような気がする。 でも、伝えたいんだ。 僕と... 続きをみる

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  • もう恋なんかして欲しくない

    夢を見た。 娘が……まだいるはずがないと信じたいけど、台所で彼氏とスマホで話していた。 僕が話しかけると、ムッとした表情で電話を切った……ただそれだけの夢。 でも起きてから、ものすごく怖くなったんだ。 そう……いつかは娘もまた、恋をするということ。 いー君は、恋をしたゆえに死んでしまった。 きっと... 続きをみる

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  • 16時間前の印鑑

    人の明日の生死なんか、誰にもわからない。 どんなにその人を愛し、慈しんだって……生死を何とかするなんて出来ない。 僕たちは……大切な子供をなくすことで、それを学んだようにと思う。 妻が生きて、動いて、話している…… 娘が生きて、動いて、話している…… そして生きたまま今日という一日を終える。なんと... 続きをみる

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  • 誰も悪くないとは言うけれど……

    今日もまた、小さないー君を自転車に乗せて駅まで向かう。 今日もまた、小さないー君を膝に乗せて電車に乗る。 今日も作業所のカウンセラーさんといろいろお話をしていた。 亡くなったいー君の話になって…… 気持ちは分かるけど、決して僕が悪いわけじゃない、誰が悪いわけじゃない……と。 それは、自死遺族の分か... 続きをみる

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  • とっても小さな君を連れて

    電車に乗る時、街を歩くとき…… いつも僕の横には、いー君がいる。 いつも左手を伸ばして、いー君と手をつないでいる。 自転車に乗る時は、いつもいー君を後ろに乗せている。 いま僕といつも一緒に行動しているいー君は、5歳くらいの小さな頃のイメージ。 電車で横が空席の時はちょこんと座ってニコニコしているい... 続きをみる

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  • 一緒に歌おう!

    今日は当分平日はもう休めなさそうだから、フリータイムのカラオケへ。 もちろん首には、いー君の遺骨ペンダント。 カラオケが大好きだったんだ、いー君は。 好きな歌もよく覚えている。 カラオケボックスに入ったら、まずはいー君が好きだった歌を流すんだ。 そして時々合間に、いー君のよく歌っていた歌を流す。 ... 続きをみる

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  • 聞こえなくなった君の足音

    そういえば…… 最近は2階のいー君の部屋から聞こえてくる足音が、めっきり聞こえなくなってきた。 2匹のワンコ達があらぬ方向を向いて尻尾を振りだすこともなくなってきた。 君の気配が薄くなっていっているんだろうか。 僕はこの前自死遺族の研究をしてらっしゃる、某大学の助教授さんのところへ協力に行った際、... 続きをみる

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