いー君といっしょ

2015年11月20日……
最愛の17歳の息子を自死で失いました。
悲しみの記録と、彼の歩んだ道、そしてこれから残された家族三人の日々を記します。

今日も聞こえる救急車の音

ウチは消防署のすぐ近く。
大病院もウチの家のすぐ近く。


便利でいいんだけど……


いつも聞こえるんだ、あの音が。


救急車の音がひっきりなしに鳴り響く。


あの日を思い出すんだ。


息子が搬送されたあの日のことを。


土気色なった息子の足を、僕は何とも言えない気持ちで見ていた。


一生けん命救急隊の人が、息子を心臓マッサージしてくれている。


生き返るわけないのに……いや、もしかしたら一縷の望みが……


いろんな考えがグルグルして、僕は茫然と妻といっしょに救急車に乗っていた。


消防署のすぐ近くなのに……大病院のすぐ近くなのに。


既に尽きた命には、そんなことは何の救いにもならなかった。


あの日のことを思い出す。


泣くこともできず、生まれて初めて救急車に乗ったあの日のことを。


こんなことで乗ってみたかった救急車に乗ることになるなんて……


嘘だよね。夢を見てるんだよね……そう信じたかったんだ。


乱暴に心臓マッサージされて、揺れる息子の身体。


もう思い出したくないあの日。


でも毎日救急車の音は、絶えることなく僕の耳に飛び込んでくる。


思いだしたくないあの日。


でも強制的に思い出させられるあの日。


やり直せないのかな……あの日の前日から。


なかったことに出来ないのかな、あの日のことを。