初めての霊柩車……そして肉体とのお別れ
正直子供のころはあこがれていたんだ。
霊柩車の中ってどうなってるんだろう。どんな感じなんだろう。
いつかは、僕も喪主で乗ることが来るのかな、長男だし……なんてことを考えていた時期があった。
それが……よりによって、自分の子供と一緒かよ。
感想は……まあ、ぶっちゃけタクシーと変わらなかった。
号泣してた嫁が心配だな。そんなことを考え、息子の遺体とともに僕は斎場へ向かう。
とにかく疲れ切っていた。
とんでもない眠気に僕は支配されていた。
でも位牌は落としちゃいけない。必死に眠気に耐えた。
つらい……とんでもなくつらい。
本当はね、最後は大好きなお母さんと一緒に車に乗ってほしかったんだ。
こんな出来損ないの父親じゃなく、ね。
そして……大阪の飯盛斎場へ。きれいなところだった。
僕は、斎場までのくねくね道を走るなか、ぼんやりといろいろ考えていた。
やっぱり信じられないんだよね。あれだけ元気だった息子が、さ。
いまは霊柩車の運転席の背後に固定されてゆられてるんだ……馬鹿な!って気持ちが抜けなかった。
そして斎場へ……
もう僕は覚悟を決めていた。
でも嫁は、やっぱり駄目だった。
完全に泣き崩れて……わかる。わかるよ。わかりすぎる。
息子は無言のまま、焼却の炉へとはいって行った。
これで……もう抱きしめてあげることもできないんだ。
涙が出た……そりゃ出るよなぁ。
涙、ため息……涙、ため息……
駄目だ駄目だ……笑顔で送ってやんなきゃ。
嫁と、嫁のお母さんが泣き崩れてどうしようもなくなる。
僕は……悔しいけど、背中を黙ってさするしか方法がなかったんだ。
そして息子は……息子の愛すべき肉体は高温で焼かれ、煙となって天に帰って行った。
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