いー君といっしょ

2015年11月20日……
最愛の17歳の息子を自死で失いました。
悲しみの記録と、彼の歩んだ道、そしてこれから残された家族三人の日々を記します。

確かに君は笑ってたよね

突然思い立って、本棚の整理をしていた。
もう一生読まないような本や、むかしのゲームの攻略本……
今度ブックオフにでも売るかな。
本を重ねてまとめて行く。


ふとビニールにくるまれた写真の束が出てきた。


息子の幼稚園時代の運動会の写真だ。


小さな体を精いっぱい伸ばし、組み体操をしている写真。
お弁当を食べている写真。


笑顔……笑顔笑顔笑顔。


そうだよね、君は確かに笑っていた。


自分の最期など考えることもなく。
自分の行く末など考えることなく。


屈託なく笑う写真。


君は確かに、笑顔でこの世界に存在していたんだよね。


君の結末は確かに悲しいものだったけど。


君は、希望に満ちあふれて生きていた。


精一杯、この世界で身体を伸ばして生きていた。


君の最期も認めなきゃならない。


そしてそれ以上に、君の笑顔を認めなきゃならない。


そう。


ちょっと早かっただけ。


人生が終わるのが、ほかの人よりちょっと早かっただけ。


いや……


他人と生を比べるなんて、無意味なもんなんだろう。


君は精いっぱい生きた。


最後まで一生懸命生きて、そして自分の考えで決断し、答を出した。


ならば、僕はそれを寿ぐしかあるまい。


君の生を認めて、君が確かに生きた時間を認めて。


君の人生に、一片の曇りもない。


君は、君の手で、人生を立派に完結させたんだろう。


認めなきゃ。君の生涯を。


認めなきゃ。君の人生を。