いー君といっしょ

2015年11月20日……
最愛の17歳の息子を自死で失いました。
悲しみの記録と、彼の歩んだ道、そしてこれから残された家族三人の日々を記します。

君の名を世界へ~僕が創作を続ける理由~

さっき、ついちょっと思い立って、自分のHNをエゴサーチしてみた。


眉丈千羽じゃない、メインの活動名だけど……


そしたら海外の人が、僕の作品を紹介してくれてる記事に当たった。


日本語が分からない人にも、一応作品のコンセプトみたいなのは分かってくれてるんだなぁ、と妙な考えを抱きつつ、自分の記事に目を通す。


絵が上手だったいー君。


君の描いたイラストは、誰の目に触れることもなく……


僕の隣室の君の部屋の中に、静かに眠り続けている。


僕の表の活動名の中には、いー君の名前が入っているんだ。


君の名が、少しでも海の向こうの人たちの胸に届いたことがうれしい。


君が生きていれば……


生きてさえいてくれたら……


いつか君も、海の外の向こう側にも、存在が届いたのかもしれない。


たとえ一人でも、一人だけでも、君のイラストを心にとどめていてくれたかもしれない。


君は……シンガポールへの修学旅行に行く前に行ってしまったんだよね。


嬉しそうに僕に見せてくれた、写真入りのパスポート。


結局使われることもなく、引き出しの中に眠ったままだよ。


世界を……海の向こう側を見てからでもよかったんじゃないのかい、生き急がなくても。


君が死んだとき……


僕は創作をやめようと思った。HNも変更しようと思った。


でも、この名前で行く。


君の名を……日本だけじゃなくて、海外の人に1人でも多く知って欲しいから。


君の名が……世界に届きますように。


一人でも多く、君の名が異国の人の心にとどまる様に。


僕は……創作を続けるんだ。


君の名は、いつまでも僕のHNの中に入ってる。


君は僕の……僕を構成する大切な1つのパーツなんだよ。いつまでも……


頑張らなきゃね。


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深まりつつある季節

また秋が来た。


食欲の秋、芸術の秋……


世間にとっては楽しい季節だろう。


でもこの季節は、僕にとっては……哀しい記憶を呼び覚ます季節だ。


土気色になった息子の肌。首にくっきりと残る首吊りのあと……


生まれて初めて乗る救急車。一生懸命心臓マッサージをしてくれる救急士さん。


皮肉なことに、消防署が家のすぐそばだ。


サイレンを鳴らし出動するたび、いつもあの時のことが思い出される。


分かっている。こんな悲しい思いをしたのは僕だけじゃない。


同じ空の下……大切な子供を失った人が、数え切れないほどいることを。


同じ季節に、同じ縊死で子供を失った人がいることを。


みんなこんなふうに……あの時の悲しみを思い出しているんだろうか。


親を失うよりも……


国を失うよりも……


星を失うよりも……


とてもとても悲しい……子供を失った同じ境遇の人たち。


なんでこんな悲しいことが……僕たちに与えられたんだろう。


神様の試練?……仏さまの試練?


冗談じゃない、そんなこと頼んだ覚えはない。


与えられた試練なら……そんなものには背を向けてやる。


乗り越えるなんてクソ食らえだ。


子供を……子供を返してくれクソ野郎。



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笑顔は玄関の君の写真だけ

歯車が狂ったまま、家族という車輪は回転し続けている。


娘は相変わらず僕に心を開いてくれようとはしない。


たった数年前までは、笑顔であふれていたうちの家庭。


いまでは誰ひとり笑うものはいない。


笑い声は聞こえるんだ。


居間からのテレビ番組に笑う妻と娘の空虚な笑い。


心からの笑顔は……心からの笑いはもう起きることはないんだろう。


玄関で笑っている、君の写真だけが本当の笑顔。


なにもない。なにも得られることも、そしてその予定もない。


なんで生きているんだろう。


なんで、次の朝はやってくるんだろう。


こんな家庭に何の意味もない。


こんな人生に何の意味もない。


早く……早く……こんな意味もない空虚な人生が終わりますように。



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