早いね。あの日から2年が過ぎた。
あの日の君の『決断』は、正しかったのか……僕には分からない。
ただ、全ての歯車が狂ってしまって……
君という存在が、家族にとってどれだけ重要だったか思い知らされている。
君の妹は、もうずっと不登校だ。多分もう立ち直れない。
何か書き遺してあげて欲しかったな。
僕とママに書き遺す余裕はあったんだろうけど……
君の妹は、君が思うよりずっとずっと君を頼っていたと思うんだ。
なにも彼女に残さずに旅立っていった君。
責めるつもりはないよ、心にもう余裕がなかったんだよね。
僕も完全につぶれている。もう幻聴と重度の鬱でどうしようもない。廃人だ。
障害年金と失業保険で糊口をしのいでるけど……
なんとか仕事を見つけて動かなきゃね。
一度壊れた積み木は……あちこちのパーツが欠けちゃって、元に戻りそうもない。
それに、君の存在がごっそり抜けてしまったし……
中途半端に組み上げて見たけど……ダメだわ。
幸せ、って完成形にどう逆立ちしても組みあがりそうもない。
とっくに、再起なんか諦めてるんだけどね。止まんないんだわ、心臓が。
君みたいに、一発で首つりで自分をしとめる自信もないし。
僕はもうどうでもいいんだけど、ママの立場もあるからね。
ママも案外、同じこと考えてるのかもしれないけど……
地獄で千年の炎で焼かれてもかまわないし……止まんないもんかね、心臓。
失敗しちゃったよ。
幸せな家族を作ることも。君を大人にすることも。
どんな顔で……どの面を下げて生きていかなきゃならないんだろうね。
罰ゲームなのかな。君を大人に出来なかった罰ゲーム。
惨めに這いずって、生き続けていかなきゃならないこと。
パパたち頑張るから空の上から見ててね……なんて言うと思った?
僕がそんな聖人君子なら、君も死なずに済んだんだよね。
さっさと、家族全員迎えに来やがれ、バカ。