色んなところに行ったなぁ……
先日、温泉にぼーっと浸かりながら、いろんなことを思い出していた。
近畿のど真ん中に住んでいるから、四方八方いろんな観光地に行った。
色んな景色を見て、いろんな思い出を作って、いろんな体験をした。
楽しかった……毎週振り回されるみんなは大変だったろうけど。
仲良く楽しい家族……でも、それは永遠には続かない。
死んだ長男が中学生でクラブ活動で離脱し、娘は思春期になる。
どこにも行けなくなった休日……徐々に何かが変わっていった。
子供と話す機会は減り……息子は家族を離れ彼女へと流れた。
そして彼女と付き合ってしまったがための縊死……
どこで間違ったんだろう。どうすれば防げたんだろう。
その答えは3年たった今でも、答えは出ていない。
家族という意味が狂ってしまったまま、いまも淡々と月日は流れる。
子供たちの無邪気な笑顔、そして笑い声……
子供が大きくなって変わっていく、家族という『意味』。
変わらなければ……子供が大きくならなければ、こんなこと起きなかったのに。
僕の手のひらには……もうなにも残っていない。
楽しかったあの日も、そして生きていた息子も。
僕は人生の敗戦処理投手になった。
もうなにも残っていない。
打ちひしがれても、罵られても……
マウンドを降りることも許されず、ひたすらに試合終了を待つだけの男。
強制コールドゲームにならないか……そう思うんだ。
本当に首を吊って死ぬべきは……この僕なのに。
僕は敗戦処理投手として……逃げることも許されず、ひたすらに投げ続ける。