いー君といっしょ

2015年11月20日……
最愛の17歳の息子を自死で失いました。
悲しみの記録と、彼の歩んだ道、そしてこれから残された家族三人の日々を記します。

WALKING TOUR

僕が若いころ見て、心に残った動画。


そして、自分がいまの様な心の時に思い出した動画。


大切な子供を失った人……


大切な愛する人を失った人……


この動画を見てほしいんだ。


https://www.youtube.com/watch?v=SRVFNGVnJWY


僕がこの動画に出会ったのは、パソコンのインターネット草創期だったかな。


『立ち止まる人』は僕のつもりだったんだ。


『立ち止まる人』が大切な子供だとは夢にも思わなかったんだ。


でも、僕はこの動画を覚えている。
この動画が訴えたかったことを、確かに心に刻んでいた。


そう。


僕たちの失った人たちは「いなくなった」わけじゃないんだ。


いまも、ちゃんと手を振って僕たちのあるく後姿を見守っていてくれる。


僕の大切ないー君は、自らの意思で歩くことをやめた。


でも、いなくなったわけじゃない。
ちゃんといつでも振り返れば、にっこり笑って手を振ってくれる。


僕たちが歩む60年くらいの人生なんか、ものすごく短いものなんだ。


自らの命をいま閉ざそうとも。
歯を食いしばって天命尽きる時まで歩き続けようとも。


歩みをとめたとき、振り返ればいつでも……
失った人は真後ろに立っていて、肩を叩いてくれる。
『ちゃんと見ていたよ、お疲れさま』って言ってくれる。


そうなんだよ。


急ぐ必要は何もないんだ。


ちゃんと待っててくれるから。
いつでも手の届くところに、僕たちが失った人は立っていて背中を押してくれるから。


一緒に人生を歩めないこと……


それは僕たちみんな知ってるよね。とってもとっても悲しくて辛いこと。


でも、焦って人生走る必要も、急ぐ必要もないんだ。


ちゃんと会えるよ。
振り返ってみようよ。
すぐ後ろに立って微笑んでるよ。


だから、歩かなきゃね。
一緒に立ち止まってからの時間の方が長いんだ。
失った人にたくさんお土産話ができるように。たくさんのものを見て歩こう。
いろんな話をしてあげよう。
二人で立ち止まってからの時間を充実させて過ごすために。


分かっているんだ……
分かっていても、ものすごく悲しい時があるんだ。
だからその時の気持ちは、この電脳の海で吐き出して刻みつけよう。


僕の吐き出してここに紡いだ百万の言葉は、いつか会ういー君のために。
名もなき卑怯な犬や豚の類の鳴き声なんかに穢させやしない。
僕は僕の刻んだ銘板を、誰の手も加えぬままいー君に見せるんだ。


さあ、いー君が後ろから見てる。また歩き出そう。


悲しい時は、悲しい旋律を想いのままにここに刻もう。
楽しい時は、楽しい旋律を想いのままにここに刻もう。


僕の魂からあふれ出して止まらない詩を、真っ白な僕の道に刻み続けよう。


そして、この道を一緒に立ち止まったとき、いー君と2人で一緒に読むんだ。


心配しなくても大丈夫なんだよ。


みんなが失った大切な人は、振り返ったらすぐ後ろで笑って立っているから。