いー君といっしょ

2015年11月20日……
最愛の17歳の息子を自死で失いました。
悲しみの記録と、彼の歩んだ道、そしてこれから残された家族三人の日々を記します。

ひよこのお姫様に託した夢

いま、いー君が最後まで夢を託していた彼女のお絵かきを、リアルタイムで見ながら彼女の声をきいている。


ツイキャスって言うのか、便利な世の中になったもんだ。


描いてるところを見てるけど、うまいもんだ。


いー君の学校の授業で書いた人生の夢は、『彼女に一生自由に絵をかかせてあげたい』
だったんだよね。


そしていー君も感化されて、なかなか上手な絵を描いていたんだ。


正直惜しいなぁ……ここまで上手に描けていたのに。


いー君もお浄土で、お絵かきしてるかもしれないし決して無駄なスキルじゃないよね。


いまも楽しそうに、彼女はお絵かきを音楽に乗せて楽しんで伸び伸びと描いている。
僕がいることを知っちゃうと、心を乱しちゃうかもしれないから……こっそりと見守っているんだ。


いー君の描いた夢が……いー君が大切にしていたことが……


今、こうやって彼女が生き生きと思いのままに表現してる。


頑張れ。伸び伸びと奔放に想いのまま……力いっぱい表現してくれ。
いー君の夢が……いー君の託したものが、こうやって目の前で生き生きと……今、ここにあるんだ。


僕としても、本当に嬉しいんだ。
彼女が絵を描き続ける限り……いー君の夢は生き続ける。


他人の表現にこっそりケチをつけるような、つまらない人間にはなるな。
常に何かを作り出す人間であれ、作り出すことに喜びを見出す人間であれ。


表現に何の斟酌もいらない。
自分の心が奏でる旋律のまま。自分の魂があふれだす情熱のまま。
口しか挟めぬ『出来ぬ鼠輩』をすべて笑殺し、想いのままに表現するんだ。


彼女が生きる限り……いー君は彼女の心の中でずっと生きている。
そのいー君に僕は手を触れられないけれど、僕がいなくなってもずっと生きている。


いま2階で、いー君が凄く歩き回っている。
ミシミシ、ミシミシ……
ワンコ達がそのたびに、びっくりして天井を見上げてる。


そうだよ。


誰ひとり、いなくなっていない。


みんなこうやって、ここにいるんだ。


たくさんの人に、見せてあげたいな……いー君が愛した女の子の絵を。
上手で優しいタッチの可愛い絵を。


さて、僕の方も彼女が描き終わったら、さっさと音声編集終わらせて作品をアップすることにしよう。


僕たちの心のままの表現は、誰にも邪魔されない。


僕たちの心のままの表現は、誰にも邪魔させない。