いー君といっしょ

2015年11月20日……
最愛の17歳の息子を自死で失いました。
悲しみの記録と、彼の歩んだ道、そしてこれから残された家族三人の日々を記します。

確かに……ここにあったもの

いままで、全然気がつかなかった。


ツイッターの息子の彼女のアカウントのヘッダー画面。


ヘッダー画面って、自分のアイコンとはまた別の背景写真みたいなもんだ。
自分の大切な写真や画像を置く場合が多いんだよね。
僕だったら、僕が作った鬼太郎の目玉の親父の絵。

本当は、この絵を自分を自分の人生最期の投稿にして、お別れ告げておしまいにするつもりだったんだよね。
『じゃあみんな、達者でな』……ってな感じで。
僕が手を振る相手の中には、本当ならいー君がいたはずなんだけど。
僕が先にいー君に、達者でな……って言われちゃった。


そんな彼女のツイッターのヘッダー絵。
よく見たら、二つのアクセサリーの写真だったんだ。
ハートの手首につける奴なのかな。おそろいのアクセサリー。


一つのアクセサリーには、彼女の名前。


そしてもう一つには、いー君の名前。


彼女は、そのアクセサリーを、ヘッダー画面に乗せてあったんだ。


おそろいの、かわいいハートのアクセサリー。


そうなんだ。
いー君は、たった17年の人生の中でも、人生で見つけるべきものを見つけたんだ。


人を愛すること。
そして、人に愛されること……


その証のアクセサリーが、まだ彼女の大切なヘッダー写真として表示されている。


いつかは彼女のヘッダー画面は、ほかの誰かのものに変ってしまうかもしれない。


でもいいんだ。


証がここに残っていた。


いー君が、この世に生まれた証。
誰かを愛し、愛された形。


いー君の人生は短かったけど……
とっても綺麗にまばゆく……力いっぱい輝けたんだよ。


僕だって、貰ったことも存在もしていないよ。おそろいの名前入りのアクセサリーなんて。


そうだ。


いー君は、確かにこの世にいたんだ。
そして、形としてそこに存在しているんだ。


よかったね。


よかったよ、いー君。
とっても素敵な女の子に会えてよかったね。
とっても素敵な女の子に愛してもらってよかったね。


振り向いたら、はにかんだ笑顔を浮かべていー君が手を振っているよ。


よし。


パパ、もうちょっとだけ歩いてみよう。


ちゃんと会えるからね。
ママと妹と手をつないで歩くから……パパの背中を、もうちょっとだけ見守っていてね。