いー君といっしょ

2015年11月20日……
最愛の17歳の息子を自死で失いました。
悲しみの記録と、彼の歩んだ道、そしてこれから残された家族三人の日々を記します。

小さな君の瞳には

今日は、障害者職業訓練はおやすみ。


久しぶりにゆっくり寝ていられる。


リビングから、妻の怒鳴り声と娘の泣き声。


寝坊したか学校に行きたくないか……なんかゴネているみたい。


娘にとって、お兄ちゃんはとっても大切な存在だったんだ。


僕には弟がいるけど、15歳くらいから、たったの一言もしゃべっていない。
時々顔を合わすけど、一切口をきかない。


僕自身が、他人を大切に思うとか、人の心を一切理解できないから。
たぶん弟が目の前で惨殺されても、泣かないし、葬式どころか香典も出さないと思う。
そんな関係なら、たぶんまったく苦しまなくてもよかったんだろうね。


でも、娘にとっては大好きなお兄ちゃんだった。


その小さな幼い心に、どれだけ深い傷跡を残したんだろう。


パパもママも号泣するお葬式の中、涙をこらえてママに寄り添っていた、我慢強く耐えていた娘。
どれだけ泣きたかったんだろう。
一番先に、一番大きな声をあげて泣いてもいいはずなのに。


僕も、ママもつらいけど……


一番つらいのは、君なのかもしれないね。


君の12年の人生の中で……12年一緒にそばにいてくれた大切なお兄ちゃんがいなくなってしまった。
とってもとっても悲しいんだよね。


でも、ずっと悲しみに耐えて毎日を過ごしているんだよね。


家に帰ってきてから、娘はソファーでうたた寝をしていた。
いつも大好きなお兄ちゃんと、2人で並んで座っていたソファー。


娘は、赤ちゃんのころから、親指をしゃぶりながら眠りに就くくせがあった。


12年たって、春から中学校なのに……まだ指をしゃぶって寝ている。


パパがしっかりしなきゃいけないのに……


障害者の僕が、健常者のままや周りの人を巻き込んで……いっぱい迷惑をかけてる。


パパなんか、生まれてこなければよかったのにね。


パパさえいなかったら、奥さんも娘も……きっといー君も死ななくて良かったかもしれない。


健常者のみんなで、暖かい家庭で……楽しく過ごせたはずなのに。


君は……


お兄ちゃんがなれなかった、大人になってください。


パパのせいで……パパが生きているせいで……ごめんね。