君の部屋はあの時のまま
もうどれくらいになるんだろう……
1年半になるのかな。
息子の部屋は、いまもなおあの時のままにしてある。
今日は天気がいいから、部屋の窓を開けて換気してある。
片付けられるはずがない。片付ける理由もない。
片付けたって、新しい人が使うわけじゃない。
いつ奇跡が起きて、息子が生き返って帰ってきてもいいように……
使いさしのファブリーズ……
君は彼女が出来てから、ずっとおしゃれに気を使ってたよね。
日にち薬……昔の人は上手いことを言うもんだ。
息子を失った心の傷は、一生ふさがらない。
でも、少しずつ時間が経つとともに癒えてきたような気もする。
でも……
彼の部屋を見るたび、心が痛むんだ。
君はこの部屋という空間の中で、悩み自分を追い詰め命を絶った。
君の見た窓からの景色、君がいた空間……
まるで寸前までここにいて生きていたかのように……時間が止まっている。
片付けられないまま、ずっとこのまま時間を止めておこう。
君が元気だったあのころを、いつでも思い出せるように。
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