いー君といっしょ

2015年11月20日……
最愛の17歳の息子を自死で失いました。
悲しみの記録と、彼の歩んだ道、そしてこれから残された家族三人の日々を記します。

「しんかんせん」のスプーン

台所でフォークを探していた僕の目に、懐かしいものが飛び込んできた。


「しんかんせん」のスプーン。


生前、幼稚園時代にいー君がお弁当に使っていたフォークだ。


たぶん気にしなかっただけで、ずっとフォークの棚のところにあったのだろう。


いー君がいつも大切に使っていたフォーク……


十数年経た今でも、印刷がはげただけで、フォークの輝きは保っている。


しんかんせんのフォークは、心なしか主を失ってさびしそうに見えた。


このフォークを使っていた、小さな可愛い男の子は、大人になり……


しなくていい恋に惑って、命を散らせてしまった。


可哀想なスプーン。


可哀想ないー君。


なんとなく切ない気分になった、いつもと変わらない夜。


やっぱりいー君の死という事実は、いつまでたっても払拭できそうもない。