いー君といっしょ

2015年11月20日……
最愛の17歳の息子を自死で失いました。
悲しみの記録と、彼の歩んだ道、そしてこれから残された家族三人の日々を記します。

何も伝えることはなかったのかい?

いま……初めて気づいた。


遅い……遅すぎる。自分の朴念仁ぶりが嫌になる。


そうなんだ……いー君は、妹になにも書き遺していない。


僕たち両親だってかろうじて3行の遺書だ、それでもあっただけましかもしれない。


妹は……なにも書き遺してもらえなかった。


いー君、あわてん坊だし、余裕がなかったんだよね。


せめて何か……遺してあげてほしかったな。


君の妹の横顔がとっても寂しそう。


何か残すことはなかったのかい……


あれだけ仲の良かった妹なのに。


そうなんだ……


彼女は心の闇と寂寥感を抱いたまま、残りの人生を送らなきゃならないんだ。


あえて何も遺さなかったのかな。答は君だけが知っているよね。


ずっとやさしく見守ってくれるから、言葉なんか不要だったのかな。


護ってあげてね……大切な人が出来て、一人で歩きだすまで。


護ってあげてね……君が遺せなかった子供を……彼女が身に宿すまで。