百万回のありがとうを君に
今日はちょっとした本に出会った。
知り合いが教えてくれた青い小さな冊子。
精神科医の先生が書いた、ありがとうは魔法の言葉……みたいな薄い本だ。
ありがとう……幸せです、ありがとう……
自己暗示をかけるかのように、何度も何度も書き連ねられていた。
そうなんだ忘れていた……哀しさだけでいろんなものを見失っていた。
僕は、いー君にありがとうって気持ちを伝えるのを忘れていたんだ。
僕は彼に会うことで、あの悲しい出来事以上に沢山の幸せをもらったんだよね。
いー君……僕の子供として生まれてきてくれて、ありがとう。
子育ての楽しさを教えてくれて、ありがとう。
17年僕と一緒に歩いてくれて、ありがとう。
沢山僕に生きがいをくれて、ありがとう。
沢山の幸せを僕たちにくれて、ありがとう。
人を慈しむ心を教えてくれて、ありがとう。
生きることが有難いことだと教えてくれて、ありがとう。
人を失うことの悲しさを教えてくれて、ありがとう。
死んだいまもずっと僕の心に寄り添ってくれて、ありがとう。
毎日毎日崩れてしまいそうな僕の心を支えてくれて、ありがとう。
いまも君の大切な妹を見守ってくれて、ありがとう。
ありがとう……ありがとう……数え切れないくらいのありがとう。
君が生きているうちに伝えられなかった言葉。
そうなんだ、悲しさでずっと忘れていたんだ、君へ伝えなきゃいけない真の言葉。
百万回のありがとうを、君に送ろう。
急がなくても、君に会えるよね。
いつかきっと、君に会えるよね。
抱えきれないありがとうを抱えて、君にきっと会いに行くね。
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