いー君といっしょ

2015年11月20日……
最愛の17歳の息子を自死で失いました。
悲しみの記録と、彼の歩んだ道、そしてこれから残された家族三人の日々を記します。

主なき室外機

窓の外を自室から眺める。


カラスザンショウの樹と……いー君の部屋のエアコンの室外機。


もうおそらく動くことはない。


主なき部屋のエアコンの、主なき室外機。


いー君は優しい子だったから、電気代がもったいないってめったに使わなかったっけ。


それでよく熱中症になって、学校を休んだんだよね。


いや……分かってるんだ。熱中症じゃなかったってことは。


学校を休みたかったんだよね。いろいろいー君悩んでたみたいだから。


僕も何も言わなかったけど……


何か声を掛けてたら、運命変わっていたのかな。


もう室外機のファンは回らない。


誰もいない部屋で動くことのないエアコン……


いー君の部屋はあの時から完全に時間が止まったまま。


攻めて、検視した警察の人の汚した絨毯は綺麗にしたいんだけど、何度こすってもダメ。


動かない室外機を見るたび……僕は現実に引き戻されるんだ。


もう動かない室外機……


冷たい雨に打たれて、泣いているように見えた。