いー君といっしょ

2015年11月20日……
最愛の17歳の息子を自死で失いました。
悲しみの記録と、彼の歩んだ道、そしてこれから残された家族三人の日々を記します。

とっても小さな君を連れて

電車に乗る時、街を歩くとき……


いつも僕の横には、いー君がいる。


いつも左手を伸ばして、いー君と手をつないでいる。


自転車に乗る時は、いつもいー君を後ろに乗せている。


いま僕といつも一緒に行動しているいー君は、5歳くらいの小さな頃のイメージ。


電車で横が空席の時はちょこんと座ってニコニコしているいー君が見える。


隣の席が埋まったら、だっこして膝の上に座らせてあげる。


街の中を歩く時、駅の中を歩くとき……


手をつないだいー君は、一生けん命ちょこちょこ歩いて、ときどき僕の顔を見上げてニコッと笑ってくれるんだ。


居なくなったと勝手に思い込んでるだけだから。


見えないと勝手に思い込んでるだけだから。


いー君は間違いなくここにいる。


ある時はカッコいい、可愛い彼女がいたいー君。


ある時はとってもちっちゃな可愛い男の子のいー君。


沢山の色んないー君が、間違いなくここにいる。


僕の伸ばした手の先に。


僕や妻や妹や……一緒に生きたたくさんの人の心の中に。


手を伸ばせばつかめるんだ。つかめないって思いこんでるだけ。


頭もちゃんとなでられるんだ。なでられないって思いこんでるだけ。


おしゃべりだって出来るんだ。おしゃべりできないって思いこんでるだけ。


そして抱きしめられるんだ。抱きしめられないって思いこんでるだけ。


そう……いつだっていー君はいつも一緒。


だからさびしくないんだよね。


明日は土曜日でお休み。


いー君を助手席に乗せて、ドライブに行こう。


とっても小さな、可愛いいー君。


勝手に思い込んで、諦めちゃだめだ。
信じよう……
僕らの過ごした長い時間は、嘘をつかない。


信じよう、信じよう。


いつだって僕の伸ばした左手を、いー君は握り返してる。


勝手にいなくなったとか、思いこんでてごめんね。


ちゃんといるよね。パパとママ、勝手に泣いてるだけだよね。


そうともさ。


今日も明日も明後日も……


ずっとずっと、いー君と一緒。