いー君といっしょ

2015年11月20日……
最愛の17歳の息子を自死で失いました。
悲しみの記録と、彼の歩んだ道、そしてこれから残された家族三人の日々を記します。

君はきっとそこにいるから

もうすぐいー君が逝って半年になる。


ものすごくこの半年……とっても長くて、そしてとっても早かった。


一生癒えない心の傷だけど……ちょっとだけ冷静にいろいろ考えられるようになった。


朝、新聞を取りに行ったときに、ふとあるものが目に入った。


僕たち家族全員の名前と住所が入った表札の銅板レリーフ。


もちろんいー君の名前もそこに残っている。


いまのマイホームを建てたのが大体10年前、いー君が小学校に入る年に引っ越してきたんだ。


家はまだ新しくてピカピカで……


6歳のいー君は、無邪気に家じゅうを嬉しそうに走り回っていたっけ。


そう……まさかこの家が終わりの場所になるなんて、想像もしてなかったよね。


楽しいことだけがたくさん起こる場所だと思っていた。


僕が貧しい家に……自分の部屋がない家に育ったから、いー君には独立した一室をあげたい……そう思ってい中の広い家を買ったんだ。


独立した部屋がなければ……
つつましく小さな家に住んでいれば……


君は死ぬことはなかったのかも。


いや、分かってる、結果論だよね。


君は見えなくなっただけで、ずっとこの家にいるんだよね。


いまもリビングでスマホゲームとにらめっこ。


僕たちは君の姿が見えなくなってしまったけど……君はきちんとこの家にいるんだ。


僕たちは家族だから。ずっと一緒だよね。


玄関の表札もこのままにしておくよ。君の名前を削ったりしないから安心して。


ずっとずっと一緒だから。


ずっとずっと一緒だから。