ここ最近、少しずつ家族のみんなが立ち直ってきた。

ちょっとした笑いが起きるようになった。

笑いに包まれる時間も増えてきた。

……みんな、いー君の死を忘れたわけじゃない。

みんなそれぞれに、彼の死を解釈して飲み込んで……新しい未来に歩き始めているんだと思うんだ。

いー君は、家族がみんなでいるリビングに、スマホをいじりながら、いまでもニコニコして座っている。

たんに見えなくなったと、勝手に思い込んでいるだけなんだ。

いー君は、いつも変わらず大切な家族の一人として……ずっといてくれるんだ。

それを、誰も何も言いださずとも……ちゃんと分かり始めたんだと思う。

そしてきっといー君も……

前を向き始めた僕たちの気持ちが分かってくれている。

覚えるとか別れるとか悲しいとか……それはきっといなくなった人への感情。

いー君はずっといるんだ。

見えないって勝手に思い込んだ時期があっただけなんだよね。

いまの時間までのこれまでも……

そして、いまの時間からのこれからも……

僕たち家族４人は、ずっと一緒に歩いて行くんだ。