いー君といっしょ

2015年11月20日……
最愛の17歳の息子を自死で失いました。
悲しみの記録と、彼の歩んだ道、そしてこれから残された家族三人の日々を記します。

君が思い出になる前に……

もう歌手名も忘れたけど、運転中、信号待ちの右側のレーンからスピッツの『君が思い出になる前に』……が大音量で流れてくる。
車の窓を全開にして、大音量で……マナーが悪いドライバーだなと並行しつつも、なんかいろんなことを思い出して、涙が自然とこぼれてきた。


この曲……僕が昔乗っていた車でよく流していたんだよね。


遊び疲れたドライブの帰り……夕暮れの越前海岸を走る家族を乗せた車。


疲れて眠りこける小さな頃のいー君。


大きくなったら、どんな子になってくれるだろう……そんな思いをはせて運転してたんだ。


楽しい家族との時間……僕が死ぬまで、そんなものは永遠に当たり前に存在するものだって思ってた。


今日は、実家に久しぶりに帰っていたんだ。


そこで、僕の母親から生前のいー君の、こんな話を聞かされた。


いー君がなくなるほんの少し前……
うちの母親の親友が家に遊びに来ていた。


『僕のおばあちゃんを、これからもずっとよろしくお願いします……』


母親の親友のおばちゃんは驚いたそうだ。


小さいころから知っているいー君は、とってもシャイでいつも顔見知りして一言も話そうとしない子なのに……


もうその時期から、いー君は旅出つ決意を固めていたのかもしれない。


僕は全然気づいてやれなかったんだね……


君が思い出になる前に……か。


いや。


絶対思い出になんかしないよ。


君は大切な僕たちの家族の一員なんだから。


思い出なんか……遠いところには絶対行かせないよ。
ずっと隣にいて、一緒に過ごそうね。