いー君といっしょ

2015年11月20日……
最愛の17歳の息子を自死で失いました。
悲しみの記録と、彼の歩んだ道、そしてこれから残された家族三人の日々を記します。

冷蔵庫の一角を占めるもの

今日になって気付いたことがある。


冷蔵庫の一角にまったく減ることのないものが存在している。


缶のチューハイだ。


僕は下戸だからアルコールは駄目なんだけど、嫁は仕事から帰ってくると、いつも嬉しそうにチューハイを飲むことが楽しみだったんだ。


でも……


『あの日』から、一本も減ることはない。


そうなんだ。嫁はお酒をやめていた。


飲む気も起らないだろう……
いや、アルコールで悲しさを振り切ることは可能かもしれない。
でも、嫁はそんなことはしなかった。


弱音も吐かず、必死に踏みとどまることを選んだ。


泣いてもいいのに……嫁は絶対にそれを見せようとはしない。


逆に心配なんだよね……一気に崩れたりしてしまわないか。


僕と娘が、崩れてしまわないように、必死に弱さを見せずにあの日から生きている。


それが逆に僕にはとっても辛くて……


嫁は決して強い女の子じゃなかった。
結婚した時は、まだ子供で7歳も下で……世間知らずの19歳の女の子だった。


でも、いつの間にか僕を通り越して、とっても強い人間になっていた。


本当なら一番悲しいはずなんだよね……


何とか、彼女を支えなきゃ。弱みを見せなくても、しっかり背中を支えなきゃ。


いつか嬉しそうに、仕事の後のお酒を嬉しそうに飲む彼女の横顔を……


僕が生きてる間に、取り戻して見せる。