冷蔵庫の一角を占めるもの
今日になって気付いたことがある。
冷蔵庫の一角にまったく減ることのないものが存在している。
缶のチューハイだ。
僕は下戸だからアルコールは駄目なんだけど、嫁は仕事から帰ってくると、いつも嬉しそうにチューハイを飲むことが楽しみだったんだ。
でも……
『あの日』から、一本も減ることはない。
そうなんだ。嫁はお酒をやめていた。
飲む気も起らないだろう……
いや、アルコールで悲しさを振り切ることは可能かもしれない。
でも、嫁はそんなことはしなかった。
弱音も吐かず、必死に踏みとどまることを選んだ。
泣いてもいいのに……嫁は絶対にそれを見せようとはしない。
逆に心配なんだよね……一気に崩れたりしてしまわないか。
僕と娘が、崩れてしまわないように、必死に弱さを見せずにあの日から生きている。
それが逆に僕にはとっても辛くて……
嫁は決して強い女の子じゃなかった。
結婚した時は、まだ子供で7歳も下で……世間知らずの19歳の女の子だった。
でも、いつの間にか僕を通り越して、とっても強い人間になっていた。
本当なら一番悲しいはずなんだよね……
何とか、彼女を支えなきゃ。弱みを見せなくても、しっかり背中を支えなきゃ。
いつか嬉しそうに、仕事の後のお酒を嬉しそうに飲む彼女の横顔を……
僕が生きてる間に、取り戻して見せる。
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