いー君といっしょ

2015年11月20日……
最愛の17歳の息子を自死で失いました。
悲しみの記録と、彼の歩んだ道、そしてこれから残された家族三人の日々を記します。

新しい家と、走り回る君

今日ぼんやりと、いまの家に来た最初の日を思い出していた。


うちは本来新興住宅地の中に建っていた、モデルハウスだったんだ。
僕らがの家の区画だけが、狭いながらも庭がある分、縦に車を2台止めなきゃいけない変形の駐車場になっているんだ。


モデルハウスだから、他の家より玄関の証明とかがオシャレになっている。撤去取り換え予定だったのをそのままにしてもらったんだ。


新しい家の中を、小さな小学1年生のいー君は元気に走り回っていた。


まだ妹は、嫁のお腹の中にいて……いー君は貸し切り状態の家を元気に走り回っていたんだ。


新しい家、満ちあふれた希望、新しい環境……


いー君の表情は、明るく光り輝いていたんだよね。


この家で10年間……たくさんのことがあったよね。
泣いたり笑ったり……


そんな家で、君が終わりを迎えるとは思ってもいなかったんだ。


でも、君はこの空間を大切に思ったからこそ、ここを最後の場所に選んでくれたのかもしれないね。


いー君の帰る場所だったんだよね。ここにずっといたいと思ったからこそ、ここを選んだ。


安心して。僕もママもどこにも行かないよ。ここを最後の場所にする。


君が希望を抱き、希望を燃やし尽くしたこの家を……


どこにも行かないよ。安心してゆっくりとおやすみ。