いー君といっしょ

2015年11月20日……
最愛の17歳の息子を自死で失いました。
悲しみの記録と、彼の歩んだ道、そしてこれから残された家族三人の日々を記します。

お弁当ごちそうさま。

どんな気持ちで食べたんだろうな……


お昼休み、昼食の時間。


いつもと変わらない、嫁のお弁当。


結婚してから18年。いつもと変わらないおかずの編成だ。
とりあえずローテーションでハンバーグとかいろいろ詰めてあって。
そして、余ったスペースをブロッコリーで埋め尽くす。


たぶん、いー君への高校時代のお弁当も、ずっと同じ感じだったんだろうな。


いー君が最後だったあの日。


君は、高校を早退して……最後にママの車で帰る途中、お昼に食べるはずだったお弁当を車の中で全部食べたんだよね。ごちそうさま、って言って全部。


どんな思いが胸に去来していたんだろう……


あの時、君は素直にママに想いを打ち明けていれば……


いや、たぶんもう頭の中に、遺される家族のことなんかなかったんだよね、きっと。


そうなんだ……


僕の大切な奥さんは、毎朝早く起きて、家族のために一生懸命お弁当を作ってくれているんだよね。


いろんな思いを込めて。
いろんな想いを込めて。


作られた方は……その気持ちをちゃんと受け止めなきゃいけない。
当たり前のことかもしれないけど、見落としてたこと。


今日、一つ一つ妻の想いを噛みしめて……僕も全部平らげた。


いつもはブロッコリーを残すんだけどね。


いー君が食べた、最後のママのお弁当……ちゃんと最後まで食べたね。偉いね。


いや……最後じゃない。


いまだってパパの口を通して、君はママのお弁当を食べているのかもね。


僕の胸の遺骨ペンダントの中に君がいるから、いー君はいつも一緒だもんね。


明日もパパと一緒に食べよう。


ママが作ってくれた、大切な美味しいお弁当を。
ブロッコリーは、いー君の担当だからね。