僕は相変わらず沈み続けて、今日も一日寝込んでいた。
どうしてもだめなんだ。いー君を思い出し、『あの時』を思い出し……
僕なりのベストが尽くせていなかった、後悔の念ばかりで。

娘も頑張って……いるのかな。

思春期だからかもしれないけど、どうしてもうまくコミュニケーションが取れない。
僕がふがいないから、お兄ちゃんは死んだんだ……なんかそう思っているような気がして。
実際そう思っているのかもしれない。
心の壁を感じるんだよね。

娘のケアは、嫁に任せてるんだ。

人の心が理解できない、障害者の僕にはやっぱり無理なんだよ。

嫁は頑張っている。

いつ泣いているんだろう、いつ落ち込んでいるんだろう……
そう思えるほどに、強く向かい風に立ち向かって生きている。

本当は僕が支えなきゃいけないのに。
僕がメンタルを崩さないように、一生懸命涙を見せず頑張っている。

一番つらいはずなのにね。

自分の青春時代をすべて注ぎ込んで育ててきた子供だもん。
自分のすべてを注ぎ込んだ子供が、こんなになったんだ。虚無感どころじゃないんだろうな。

同じ自死遺族のブログを書いてらっしゃる、お母さんたちを見てても、本当に頑張ってらっしゃるし……
本当に……父親の何十倍もつらいと思うんだ。
おなか痛めて、おむつ替えて……ミルク飲んだらゲップさせて。
小さいころチョコチョコ走り回って……
幼稚園行って。
小学校行って、中学校行って、高校行って。

もう大丈夫だって思うよね。
大きくなって、一人でも生きていけるんだって思ったよね。
ようやく、親って仕事に一段落ついて……気を抜いちゃうよね。

僕なんか何にもしてない……
そんな僕は頑張らなきゃいけないんだけど……

ミシ……ミシ……

ミシ……ミシ……

今日もいー君の部屋から、足音がする。

僕はここにいるよ、頑張れ。
いー君はそう言っているのかもしれない。

小さな……たった数センチの一歩でも……
前に進まなきゃね。

一人で戦っている、いー君のママを……
僕は支えて、引っ張っていかなきゃいけないんだ。

それが無理でも……
せめて、ママに迷惑かけちゃいけないよね。

ママの重荷になって、世話焼かせたの……
いー君じゃなくて、パパだよね。

頑張らなきゃ。

前へ。
一歩でも前へ。