オレンジ色の電源タップ
今日も障害者の訓練センターへ。
体調は悪いけど、実績積み上げなきゃ復職できないから、頑張って作業した。
午前中の後半……なぜか今はすでに行くことができなくなった、滋賀県の比良山の大きな滝にいー君を肩車して家族で見に行ったことを思い出した。
登山コースを肩車で……危険極まりないのは反省だけど……
いー君喜んでたな。途中の川でサンショウウオを見つけてはしゃいだり。
いつかいー君がパパになった時、子供を連れてきてあげてね……まだ小学生だったいー君の頭をなでて僕はそう話してた。
もうそのいー君は、この世の中にいないんだ。
そう思ったら、ものすごく悲しくなってきたんだ。
あの楽しい時間は、もう戻ってこないんだ……って。
周りには隠してたけど、涙がぽろぽろ出てきた。
そしてお昼からは……コンセント・電源タップの組み立て。
それでまた思い出しちゃった。
いー君が僕にくれた電源の延長コードのタップ。学校で組み立てたオレンジ色の電源タップ。
『パパ、これ学校で作ったし使って』
そう言って僕の部屋に持ってきたんだよね。
おお、そこに置いといて……僕はそう答えたんだ。
なんでもっと褒めてあげなかったんだろう。
頑張ったね、いー君。難しかったかい、ありがとうね!
……かける言葉はいっぱいあったはずなのに。
もっともっとお話ししておけばよかった。
だって、思わなかったんだもん。いー君としゃべれなくなる日が来るだなんて。
永遠に、僕が死ぬまで君がそばにいると思っていた。
パパ、あとは僕に任せてね……僕が死ぬとき、いー君がそう言って僕を送ってくれると思っていたんだ。
もっともっと……お話したかったのに。
もう駄目だった。涙腺が完全に崩壊した。
駄目だね、人前でパパ泣いてばっかりだ。
僕の命と引き換えでいい……
もう一度だけ……もう一度だけいー君とたくさんお話したいんだ。
いー君……死んだら、会えるよね。
パパ、楽しみにしてる。
いー君と時間を忘れて、いっぱいいっぱいお話しするんだ。
もうちょっとだけ、パパ頑張るから。
もうちょっとだけ、いー君待っててね。
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