いー君といっしょ

2015年11月20日……
最愛の17歳の息子を自死で失いました。
悲しみの記録と、彼の歩んだ道、そしてこれから残された家族三人の日々を記します。

オレンジ色の電源タップ

今日も障害者の訓練センターへ。


体調は悪いけど、実績積み上げなきゃ復職できないから、頑張って作業した。


午前中の後半……なぜか今はすでに行くことができなくなった、滋賀県の比良山の大きな滝にいー君を肩車して家族で見に行ったことを思い出した。


登山コースを肩車で……危険極まりないのは反省だけど……
いー君喜んでたな。途中の川でサンショウウオを見つけてはしゃいだり。


いつかいー君がパパになった時、子供を連れてきてあげてね……まだ小学生だったいー君の頭をなでて僕はそう話してた。


もうそのいー君は、この世の中にいないんだ。


そう思ったら、ものすごく悲しくなってきたんだ。
あの楽しい時間は、もう戻ってこないんだ……って。
周りには隠してたけど、涙がぽろぽろ出てきた。


そしてお昼からは……コンセント・電源タップの組み立て。


それでまた思い出しちゃった。


いー君が僕にくれた電源の延長コードのタップ。学校で組み立てたオレンジ色の電源タップ。


『パパ、これ学校で作ったし使って』


そう言って僕の部屋に持ってきたんだよね。
おお、そこに置いといて……僕はそう答えたんだ。


なんでもっと褒めてあげなかったんだろう。
頑張ったね、いー君。難しかったかい、ありがとうね!
……かける言葉はいっぱいあったはずなのに。


もっともっとお話ししておけばよかった。
だって、思わなかったんだもん。いー君としゃべれなくなる日が来るだなんて。
永遠に、僕が死ぬまで君がそばにいると思っていた。
パパ、あとは僕に任せてね……僕が死ぬとき、いー君がそう言って僕を送ってくれると思っていたんだ。


もっともっと……お話したかったのに。


もう駄目だった。涙腺が完全に崩壊した。
駄目だね、人前でパパ泣いてばっかりだ。


僕の命と引き換えでいい……
もう一度だけ……もう一度だけいー君とたくさんお話したいんだ。


いー君……死んだら、会えるよね。
パパ、楽しみにしてる。
いー君と時間を忘れて、いっぱいいっぱいお話しするんだ。


もうちょっとだけ、パパ頑張るから。
もうちょっとだけ、いー君待っててね。