最近ふさぎ込む時が多い。

色々考えてしまうんだ。

自分はこれまで何のために、一生懸命生きてきたんだろう、って。

生命のバトンをつなぐために……よしんばたくさんの孫たちに囲まれて笑顔で死にたい。
そんなことを考えて、歯を食いしばって頑張ってきた気がする。

汗どろどろになって帰ってきて、それを迎えてくれた妻といー君。

ささやかながらも、幸せな生活……

僕が一生懸命働いたら、いー君は立派な大人になってくれる……そう思って頑張ってきた気がするんだ。

いま、僕に頑張る目標がなくなってしまった気がするんだ。

いや、まだ妻も娘もいる、それはよくわかっている。

でも、いー君をお風呂に入れながら未来の夢を語り、僕も夢を抱いた時間……

あの時間が存在したのか……何の意味があったのか。
自分でもよくわからなくなってきたんだ。

こうなることを……いー君があんなことになることを、ほんの１ミリでも予見することができたのなら。

どうして見抜けなかったんだろう。
もっとどうして彼の心をケアしてやることができなかったんだろう。

僕は親として、失格だったのか。
彼に夢を与え、導き、社会に送り出すことができなかったのか。

人生というたった一回の勝負。
僕は、その戦いに負けてしまった気がする。

たった一回の勝負なら、僕が先に死んで、いー君に命の大切さを教えるべきだった。
肉親と別れることが、こんなに悲しいことなんだよ、って教えるべきだった。

いー君と過ごした、楽しい楽しい時間。
あれは本当にそこに存在したのか。
何か意味があったんだろうか……

そう考えると……
ここ最近、ずっとふさぎ込んでしまっている。

こんなこと悩んでも、いー君は喜ぶはずないのにね。

わかってるんだ、わかっている。

でも、悲しくて心がつぶれそうだ。

たった１回の人生……
僕は父親失格の烙印を押されてしまった。

それなのに、いつになるともしれない人生の終着駅への旅路を……
ずっとこうやって歩いていかなきゃいけない。

なんて残酷なんだよ、人生ってやつは。