いー君、雪が降るよ
日本全国、大寒波の影響で雪が積もっているらしい。
うちのところはさっぱり……雪景色を期待したのに、全然降る気配もない。
いー君の仏壇が、真冬の日差しに当たっている。
平和で静かな午後。
テレビの音が流れていて、家族全員がそれぞれの時間を過ごして。
いー君は日曜日になると、彼女に会いに行ってて、いつも不在だったんだよね。
今はいー君どうしてるんだろ。
我が家でのんびり過ごしてくれているのかな。
それとも電車に乗って、彼女のところに行っているのかな。
僕が自室から階下に下りて行くたびに、いー君の大きな写真が玄関で笑顔でピースサインをしていてくれる。
徐々に、いー君が見えない生活にも慣れてきた気がする。
慣れてきた、というより、いー君がちゃんといまでもそばにいてくれる、って納得し始めてるのかな。
いー君をお話ししたり、抱きしめたりはできなくなったけど。
家族それぞれみんなの心の中で、ちゃんといー君は存在している。
泣き崩れる時間は、もう終わったんだ。
新しい、僕たち家族の形に、慣れていかなきゃね。
ときどき、僕たちの夢に出てきてほしいんだけど、なかなか出てきてくれないね。
たまには出てきてね。ゆっくりきみと、お話したいんだ。
雨雲レーダーを見たら、夜中のうちに雪雲がやってくるみたいだ。
明日の朝は銀世界になっているといいね。
真っ白になった僕たちの町を……
一緒にお散歩しようね、いー君。
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