ゆっくりと僕たちは歩き始める
息子の告別式が終わり、荼毘にふされてから1日が過ぎようとしている。
獏たちは、また別の機会にお話しするけど、息子の死に対してある解釈を下した。
逃げたのでも何でもない……彼は彼の仕事をきっちりやり遂げたのだ、と。
だから、いま僕の……残された僕たちの家庭に、少しずつ笑顔が戻り始めている。
泣いていたって始まらない。そんなこと息子も望んじゃいない。
もちろん僕たちも笑える気分じゃない。
でも、あえて笑うんだ。
娘は生意気で口が悪くなったけど、いまは仕方ないと思っている。
息子が斎場の焼き場へと棺が納められた時、狂ったように喚いた嫁。
そして、泣かずにそれを支える小さな手。しっかりと大好きなお兄ちゃんの行く末を見守る気丈な女の子……
いまはわがままでも何でもすればいい。僕もイラッとする時はあるけど、もう怒らない。
とにかく生きてくれ。
生き抜いて生き抜いて、生き抜いてくれ。
大量殺人犯でもいい、世界中の敵になってもいい。
娘よ……生きてくれ。
兄の分までとは言わん。
お兄ちゃんがたどり着けなかったところへ……
高校卒業へ……成人式へ。
そこまででも構わない、たどり着いてほしい。
僕たちは、再び歩き始めた。
泣き崩れるのは、もっと後でもいい。
いまは、前へ。
一歩でも前へ。
それが僕たち家族の流儀だ。
歩いていこう。
一歩でも前に歩いていこう。
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