いー君といっしょ

2015年11月20日……
最愛の17歳の息子を自死で失いました。
悲しみの記録と、彼の歩んだ道、そしてこれから残された家族三人の日々を記します。

余った20個の豆

今日は節分。


毎年恒例……嫁の一族は地元出身で恵方巻とかそういう儀式にうるさい。


僕は両親が能登の出身でそういう文化がなかったから、恵方巻なんか無縁だった。


嫁と結婚してからだな、こういう文化は。世の中の潮流もあるけど。


僕は、そういう無意味な儀式は御免こうむる。


だから、毎年嫁といー君と妹だけが、毎年黙々と巻き寿司をかじっていた。


そうだよなぁ……去年の今頃は、いー君この家にいたんだよね。


今年も嫁と娘が、黙々と巻き寿司をかじっている。


そして、毎年のように、数え年の分だけ豆を食べる。


いー君が食べるべき20個の豆が、節分豆の袋に余っていた。


いー君が小さい頃には、無邪気に「鬼はーそと」って豆まいてたんだよね。


もう……


もう誰もこの家からいなくなりませんように。