余った20個の豆
今日は節分。
毎年恒例……嫁の一族は地元出身で恵方巻とかそういう儀式にうるさい。
僕は両親が能登の出身でそういう文化がなかったから、恵方巻なんか無縁だった。
嫁と結婚してからだな、こういう文化は。世の中の潮流もあるけど。
僕は、そういう無意味な儀式は御免こうむる。
だから、毎年嫁といー君と妹だけが、毎年黙々と巻き寿司をかじっていた。
そうだよなぁ……去年の今頃は、いー君この家にいたんだよね。
今年も嫁と娘が、黙々と巻き寿司をかじっている。
そして、毎年のように、数え年の分だけ豆を食べる。
いー君が食べるべき20個の豆が、節分豆の袋に余っていた。
いー君が小さい頃には、無邪気に「鬼はーそと」って豆まいてたんだよね。
もう……
もう誰もこの家からいなくなりませんように。
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