いー君といっしょ

2015年11月20日……
最愛の17歳の息子を自死で失いました。
悲しみの記録と、彼の歩んだ道、そしてこれから残された家族三人の日々を記します。

ひよこの王子様と、ひよこのお姫様

息子が最期まで愛し抜いた女の子がいる。


彼女がとても素敵な、やさしい昔の絵をツイッターに流したんだ。


2匹のひよこの可愛い絵。
とても優しいタッチで、とても柔らかな優しい絵。
見ただけで、心が温まるような優しい絵。


それは、まるでいー君と彼女が優しく戯れているかのようだった。


涙があふれて出てきた。
なんて優しい、素敵な絵なんだろう。


いー君が学校の道徳の時間に書いた、彼の夢と目標。


それは僕たち両親ではない、彼女を……彼女が絵を描くことを守りたい。そんな言葉だった。


ようやくわかったんだ。いー君の真意が。


2匹のひよこは、いー君と彼女。


2人とも幼く、何も解らないままチュンチュン啼いていた。
そして小さなけんか、そして一匹のひよこの王子様が命を絶った。


もう一匹のひよこのお姫様は、独りぼっちになって今も泣いているんだ。
こんなはずじゃなかったのに……
こんなはずじゃなかったのに……


何で気づいてあげられなかったんだろう。
彼女は悪くなんかないんだ……
そして、ひよこの王子様は、お姫様に夢を託したんだ。


そしてお姫様は、一人で王子様を想いながら……いまも一人で歩き続けている。


いー君の願いは、変わっていないんだね。
ひよこのお姫様を、ずっと見守っていたいんだね。


僕はその遺志を尊重しようと思う。
ひよこのお姫様の行く末を、僕が見届けよう。


ひよこのお姫様は、いつか美しい雌鶏となって、沢山の美しい卵を生むだろう。


仏様……阿弥陀如来様。
どうか、お浄土でも、このひよこの王子様と、ひよこのお姫様を巡り合わせてください。


またいつの日か、2匹のひよこが無邪気にさえずれますように。
ずっとずっと一緒にいられますように。