いー君といっしょ

2015年11月20日……
最愛の17歳の息子を自死で失いました。
悲しみの記録と、彼の歩んだ道、そしてこれから残された家族三人の日々を記します。

君のいない保険証が返ってきた

先日、息子の名前を抜いた保険証が会社から返ってきた。
それまではそんなことを気にしたこともなかったんだけど……


今日今年初のデイケアで、病院に保険証を提出した時に、ふと被保険者欄を見てしまったんだね。


そしたらいー君の名前がなかった、名前抜いたから当たり前なんだけど。


でも思った。これが僕の現実……3人から、世界にたった2人しか家族がいなくなってしまった現実。


そしたらなぜか涙がぽろぽろ出てきちゃって、病院から帰る途中ずっと泣きながら車を運転してた。


もういー君はこの世の中にはいない……残酷すぎる現実。


いー君はね、とっても健康な健康な子供だった。


保険証なんか……病院なんかほとんどかかったことがなかったんじゃないかな。


皮肉にも彼にとって唯一の大きな保険証の出番が……彼が首を吊った日、明らかに無駄な救命処置を行った日。


もっとね、病弱でもよかったんだよ。
医療費バンバン使って親を困らせるくらい病弱でもよかったんだよ。


でも……生きていてほしかった。


なんで世界一健康な体を、自分で殺しちゃったんだよ……


悲しい。悔しい……


家族を守るべきために存在する保険証までもが、残酷な現実を突き付けてくる。


いー君……


明日はね。高野山大学の助教授の立派なお坊さんに逢ってくるよ。


いー君のことをたくさん話してくる。


僕といー君の……親子のささやかな物語を、誰かに聞いてほしいんだ。


明日は電車に乗って、一緒にお出かけしようね。


お休み、また明日ね。世界で一番大切ないー君。


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