君はきっとそこにいるから
もうすぐいー君が逝って半年になる。
ものすごくこの半年……とっても長くて、そしてとっても早かった。
一生癒えない心の傷だけど……ちょっとだけ冷静にいろいろ考えられるようになった。
朝、新聞を取りに行ったときに、ふとあるものが目に入った。
僕たち家族全員の名前と住所が入った表札の銅板レリーフ。
もちろんいー君の名前もそこに残っている。
いまのマイホームを建てたのが大体10年前、いー君が小学校に入る年に引っ越してきたんだ。
家はまだ新しくてピカピカで……
6歳のいー君は、無邪気に家じゅうを嬉しそうに走り回っていたっけ。
そう……まさかこの家が終わりの場所になるなんて、想像もしてなかったよね。
楽しいことだけがたくさん起こる場所だと思っていた。
僕が貧しい家に……自分の部屋がない家に育ったから、いー君には独立した一室をあげたい……そう思ってい中の広い家を買ったんだ。
独立した部屋がなければ……
つつましく小さな家に住んでいれば……
君は死ぬことはなかったのかも。
いや、分かってる、結果論だよね。
君は見えなくなっただけで、ずっとこの家にいるんだよね。
いまもリビングでスマホゲームとにらめっこ。
僕たちは君の姿が見えなくなってしまったけど……君はきちんとこの家にいるんだ。
僕たちは家族だから。ずっと一緒だよね。
玄関の表札もこのままにしておくよ。君の名前を削ったりしないから安心して。
ずっとずっと一緒だから。
ずっとずっと一緒だから。
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