子供がいなくなった子供の日
ちょっと所用があって、近隣の大きなショッピングセンターに行ってきた。
子供の日……いつも、こういうところにいー君たちを連れてきてやっていたっけ。
周囲を楽しそうに笑いながら、親子連れが歩いていく。
かつては僕たちも、そんな時代があったんだ。
無尽蔵の家族で過ごす時間があると思っていた。
無尽蔵の笑顔で自分が死ぬまで過ごせると思っていた。
そんな幸せが有限のモノだとは、想像すらしていなかった。
僕のつなぐ手の先には、いー君がいて……
僕が笑うと、満面の笑顔で返してくれたよね。
人はどうして歳をとるのだろう。
人はどうして大きくなっていくのだろう。
あの時の小さないー君のままでずっといてくれたなら……
濃いとか進路に悩む必要になんてなかったのに。
ずっとずっと毎日笑顔で無邪気に過ごせたよね。
君が子供の日にかぶっていた、新聞紙の兜も……僕の遠い記憶の中に。
いまの僕にとっての『子供の日』
こんな残酷な言葉はないよね。
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