いー君といっしょ

2015年11月20日……
最愛の17歳の息子を自死で失いました。
悲しみの記録と、彼の歩んだ道、そしてこれから残された家族三人の日々を記します。

帰ってこない「おかえりなさい」

息子を警察で検死して、遺体を返してくれるのは、死んだ翌日の昼過ぎということだった。


午前中、どう過ごしていたか……
何をしていたっけなぁ。


葬式の準備とか、いろいろバタバタしてたような気がする。
とにかく夫婦ともに、じっとしていたら気が狂いそうだったから。


僕と妻、両家の両親が健在なのも、皮肉な話だ。
まさか書く両親とも、孫が先に逝くなんてだれも思ってなかっただろう。


そして、息子は帰ってきた、ちょうどお昼の12時に。


妻と警察署に逝って、調書と検死結果を伝えられた。
どうでもよかったんだ、結果とか経緯とか。
早く息子に会わせてくれ、それだけだった。


知らなかった。警察署の奥に死体安置用の冷蔵庫があることなんか。


重いステンレス製の扉が開いた。


息子が眠っていた。
妻だけじゃない、僕も泣き崩れた。


冷たい……
息子の体は、びっくりするほど冷たかった。


お帰り……お帰り!


僕は泣きながらずっとそう叫んでいた気がする。


息子が家に帰ってきた。


ありきたりの表現だが……無言の帰宅だった。


彼の体は帰ってきたけど……
もう笑わない。動かない。


冷たい…冷たい……氷のような体。


当たり前に続くと思っていた家族の日常……
これはもしかしたら夢なんじゃないか、わずかに残っていた一縷の望み。


彼の体の冷たさが、愚かな僕の夢想を打ち砕いた。


息子は帰ってきた……でも、僕はもう帰ってこない。


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