ミッフィーちゃんのふわふわ靴
僕は墓参りとおばあちゃんの見舞いを終え、石川から京都に向かっていた。
途中車の中で、亡き息子が座っているであろう空のシートに話しかけていた。
何度も何度も悲しみがこみ上げてくる。
こればっかりはやっぱり制御できない。
そして途中でイオン松任に寄った。
ここにもまだ幼い息子とよく来たなぁ……
靴屋さんを探してみる。昔ここで買った思い出の品があるんだ。
オレンジ色のミッフィーのスノーブーツ。
もうさすがに靴屋さんはなかったけど、ここでしか買えなかったんだな。
他のイオンを探しても駄目だった。
息子の人生は短かったけど……実にたくさんのところに出かけたな。
5歳ぐらいの息子が、そのブーツをはいて雪の中ではしゃいでいたっけ。
幸せだったんだ……
そうだよ、幸せだったんだよ、伊織は。
たくさん笑って、たくさんはしゃいで……たくさん楽しい思い出をしたんだ。
そんな息子に、未来への夢を与えられなかったのは……
孫を産んでくれることができなかったのは……
全部僕のせいなのかもしれない。
幸せだったのかなぁ、伊織……
駄目だ、涙が出てきた。
今日はこの辺でやめておこう。
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