増えない君のレパートリー
君が好きだったカラオケに行く。
そう、君が行く3日前も、パパ……カラオケに行きたい。君はそう言ったね。
時間が遅かったからまた今度行こうね、って言ったけど……
あの時無理して君を連れていけば、運命は変わったのかな。
悩みを打ち明けて、君の話を聞いて思いとどまらせることができたのかな。
いまとなっては、もしも……の虚しい話でしかないんだけど。
僕は君をカラオケに連れていく。
遺骨ペンダントという姿に変わってしまったけど……
そこでいつも君が好きだった歌を流してあげてるよね。
でも……
君のレパートリーは増えないんだ。
君の思い出の曲だけはいくら流せても……新しい歌は増えないよね。
君が生きていれば……沢山の歌に出会えていたというのに。
君の増えない歌のレパートリー。
何度君とカラオケに行ったって、2度とは増えない新しい歌。
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