いー君といっしょ

2015年11月20日……
最愛の17歳の息子を自死で失いました。
悲しみの記録と、彼の歩んだ道、そしてこれから残された家族三人の日々を記します。

雨が降る朝、君がいない朝

朝5時……変な時間に目が覚めた。


最近『日にち薬』で、徐々に悲しい事を忘れつつあるのは事実だ。


でも雨音を聞くと……なぜなんだろう。
虚無感と寂寥感に心が包まれる。


息子がいない現実。


息子を救えなかった現実。


息子を大人にしてやれなかった現実。


息子に夢を見せることができなかった現実。


息子に未来に突き進む力を上げられなかった現実。


人間は負けたと思うまで……負けたと認めるまで負けないのかもしれない。


でもたぶん僕は、もう負けたんだろう。


敗北……敗北……敗北……敗北……


僕は、この世に何をなすために産まれたんだろう。


僕は、どうして悲しい命を創ったんだろう。


僕の手のひらの上に、いまいったい何が残されているのだろう。


希望という砂粒は、僕の指の間からこぼれおちてしまった。


夢を託すべき子は、僕の指の間からこぼれおちてしまった。


未来という言葉は、僕の指の間からこぼれおちてしまった。


僕の手のひらの上に残っているのは、荼毘にふされた息子の遺灰だけ。


僕の手のひらの上に残っているのは、亡き子のセピア色の思い出だけ。


僕の手のひらの上に残っているのは、遺族という朽ちた抜けがらだけ。


僕はどこへ向かえばいいんだろう。


僕はなにを目指していけばいいんだろう。


僕の歩く景色は、二度と希望という陽光の射さないアスファルト色の景色。


歩きたくない、生きたくない僕の背中を、時間という強い力が押し出し続ける。


どの道を選んでもバッドエンドしかないのに。進め、進めと僕をせきたてる。


なぜお前は産まれてきた。お前はなぜ子供を創った。


アスファルト色の空が、大地が、風が僕を問い詰める。


分かってるんだ。もうどんなに歩いても、この先に幸せなんてないということは。


それでも僕は今日も歩かされ続ける。


アスファルト色の空に、大地に、風に問い詰められるために。


お前はなぜ産まれてきた。お前はなぜ子供を創った。


答えたら……もし頑張って考えて答えられたら……


時間は僕の背中を押すことをやめてくれるのかな。


この呪われた心臓は鼓動を打つことをやめてくれるのかな。


今日もアスファルト色の空と、大地と、風は僕を問い詰め続ける。



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