終わりの始まり~悪夢の瞬間②~
警察の事情聴取。
息子の亡骸が、警察署へと運ばれていく。
僕は、茫然自失のまま刑事さんの問いに、夢遊病者のまま答えていた。
お兄ちゃん……死んだよ。
11歳の娘が、泣き崩れた。当たり前だ。とってもお兄ちゃんにかわいがられ、仲良しの妹だ。
ウソだろ……夢だろ、これ。
でも……悪夢は醒めてはくれなかった。
学校から、息子が死にたいと言っていると連絡があったそうだ。
妻は連れて帰りながらも、元気になった息子を見て、僕には連絡をしなかった。
僕の帰宅は17時。息子が首をつったのは16時。またのちに語るけど、ほぼ即死の状態だったから、どの道間に合わなかったんだけど。
……僕が第一発見者になっていたかもしれない。
それが良かったのか、悪かったのか。
刑事さんは、息子の遺体は検視するから、明日の朝までは帰ってこない……そう言って帰って行った。
僕、嫁、そして娘……
みんな、もはや泣く気力もなく、完全に魂が抜けていたような気がする。
死んだ……
いー君が……息子が死んだ。
僕に何を伝えることもなく、理由を何も伝えることもなく……
僕は信用されていなかったのか。
これまでの17年間、信頼関係を築けなかったのか……
問いかけても、応える息子はもうこの世にはいない。
泣けなかった……
スマホをひたすらいじっていた……何をしていいかわからなかったんだ。
そして、おそらく生涯最悪の日であろう、その日は過ぎて行った。
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