いー君といっしょ

2015年11月20日……
最愛の17歳の息子を自死で失いました。
悲しみの記録と、彼の歩んだ道、そしてこれから残された家族三人の日々を記します。

長い長い……最後の夜

お通夜が終わった。
お坊さんはもう帰られてしまった。


能登の地元の名士だった叔母の同じ浄土真宗の葬儀は、住職さんが残っていろいろ法話をしてくれたんだけど……
そこがやっぱりいろいろ、檀家じゃないとかあるんだろうな、と思った。


叔母のときは、いろんな寺院からお坊さんが6人くらい来られて一斉に読経されてたもんな。
まあ、規模も経費も天と地の差があるんだから仕方ないんだろうけど。


ちょっとさびしかったけど、一般の葬儀なんてこんなもんだろう。


そして、参列者の親族がみんな帰っていく。


家族のほかで残ったのは、嫁のお姉ちゃんと、うちの母親。


後は一晩、残されたもので息子と……息子の肉体との最後の夜を過ごすことになった。


冷たくなった息子の亡骸を何度もなでてやる。


話しかけたり、号泣したり……最後の夜だと思うと……明日の夜には遺骨になっていると思うと、とにかくたまらない気持ちになる。


話しかけては……息子が小さいころ好きだった「大きな古時計」をうたってやる。


息子は、時間を追うごとに、刻々と微妙に表情が変わっていた。


そして最後の夜の息子は、何か大きな仕事を成し遂げたような、満足そうな優しい笑みをたたえて眠っていた。


それが何か救われたような気持ちになる。
ありがとう、御苦労さま……何度も何度もそんな言葉を息子にかけた。


正直信じられてない……まだ、息子の死を受け入れられていない。
当然と言えば当然なんだろう。


かくして長い……長い最後の夜は更けていく。


明日には……息子の肉体は存在しないんだ。


冷たい……冷たい息子の亡骸の額をなで続けていた。


安らかな……それは安らかな死に顔だった。


ありがとうね……


パパのところに生まれてきてありがとうね……


さよなら……


パパも死んだら、いっぱいいっぱいお浄土で一緒にお話ししようね。


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