ここ数日、ふさぎ込む日々が続いていた。

気持ちを前向きに持って行こうとしていたんだけど、どうしても息子を思い出す。

なぜ死ななければいけなかったのか。

なぜ助けてやることが出来なかったのか。

僕に出来るベストは尽くせたんだろうか……

去年からの同じ問いが、ぐるぐると頭の中をめぐる。

そんな答え、何回問い返したって変わることが無いのに。

不完全燃焼だって分かってるのに。

でも……

僕はいい、妻もいい。

妹にかけてあげる言葉はなかったのかい？

あんなに仲が良かったのに……

遺書にも書いてなかったよね、妹のことは一言も。

彼女はいま、頑張っているよ。

うん。ものすごく悲しみを乗り越えて頑張っている。

妹をよろしく頼むね……その一言は欲しかったよ。
例え、周りが全く見えなかったとしても、家族だろ？

学校の先生より……僕たちより……

……そうだね。そんな余裕もなかったんだよね。

僕も前を見なきゃ。

君が遺した想いを。君が託した願いを。

僕が果たす。

それが僕の責任の取り方。君への償い。

君が託した大切なお母さんを。

君が託した大切な妹を。

僕が護らなきゃね。生涯をかけて。

君といつか再び会うまでに、やっておかねばならないこと。

君が本当はきちんとこっちの世の中で、やっておかなきゃいけなかったこと。

それを僕が果たさなきゃ。

見ててよ、いー君。僕を空の上からきちんと見ていてね。

君が遺したすべての人のために。

君が託したすべての人のために。

君が遺した志を果たして、君に会いに行こう。

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