いー君といっしょ

2015年11月20日……
最愛の17歳の息子を自死で失いました。
悲しみの記録と、彼の歩んだ道、そしてこれから残された家族三人の日々を記します。

フラッシュバック

『いややぁ!……絶対嫌やぁ!』


嫁の心からの慟哭を聞いたのは、人生で一度きり……


いー君を斎場で焼くときの、あの時だけだったかもしれない。


豪華でこぎれいな斎場、曇り空、嫁のお母さんがひきつけを起こし倒れた悲鳴。


いー君のお棺に『点火します』と係員さんが言ってボタンを押したあの瞬間。


そう……


全ては克明に覚えている。


僕はアスペルガーさん。


哀しい記憶、辛い記憶だけはいつでも鮮明に思い出せるんだ。


いー君の肉体がこの世から消滅する瞬間……


僕はもう涙も枯れ果てて、泣き叫ぶ力さえ残ってなかった。


慟哭する嫁の背中をさする……


いい言葉が思いつかない。


仕方ないやん、笑って送ってあげよう、とかそんなこと言ってたっけかな。


哀しい悪夢のような地獄の数日間……


僕はいまでも簡単に思い出せるんだ。


あの時、父親としてどうふるまうべきだったか……


答えはないんだ、間違いないのはベストは尽くしてなかった。


曇り空、泣き声、空っぽの心……


雨が降ってきたんだよな、途中で。


そう、僕の代わりに、空が涙を流してくれたあの日。