蒼き抜け殻
僕の寝室は荒れたままだ。
あの時から時間が止まっている。
何せ急な葬式だったから、家の雑多なモノは葬式の時に寝室に全部押し込んだ。
そして、部屋の中には……
まだいー君が中学校の時に来ていた、青いジャージの上下がそのままになっている。
そろそろ手をつけなくちゃとは思ってる。
手をつける……なぁ。
どうしよう。
いー君の部屋に畳んで置いておこうか。
つい最近まで……
この衣服は躍動していたいー君とともにあったものだ。
そしていまは……主を失ったまま、寂しそうに静かにたたずんでいる。
ご主人さまを失った青い抜け殻。
お風呂場にはいー君の下着とバスタオル。
玄関の下駄箱には主を失った、いー君の沢山の靴。
沢山の抜け殻たちが、ご主人様においていかれて寂しそう。
お浄土でいー君、どんな服を着ているのかな。
暑くなってきたね。
君が行ったのは、秋が深まった11月だったけど……ちゃんと夏服はあるのかい。
抜け殻たちがさびしがっている。
取りにおいで……待っているから。
そして……
もう一度だけでいいんだ。
力いっぱい抱きしめさせてほしい。
僕の部屋で……蒼い抜け殻が、君を待っているから。
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